&FORCE COLUMN

&FORCEの戦略ブランディング基礎講座(第10回)
「ブランディング活動の第三段階<ブランド戦略実行>では具体的にどういうことをするのか?(前編)」
【東京・沖縄の戦略ブランディング会社】

こんにちは。&FORCEの広報担当です。
このブログでは、戦略ブランディングについての基礎的な知識を学びたい方のためのお役立ち情報を発信して参ります。

具体的には、次のようなお悩みをお持ちの方にお役立ちできる内容となっています。

「売り上げを安定的に伸ばすためにブランディングが大切って聞いたけど、そもそもブランディングって何?」

「スタートアップ企業として、認知度や信頼感を獲得するためにブランディングに取り組んでいきたいけれど、何をどれから始めたらいいかが分からない・・・。」

「親から会社を引き継いだ後継ぎなんだけど、親の世代とは時代状況も違うし、新しい時代に合わせて会社をブランディングし直してみたいんだけど、どうしたらいいんだろう?」

知っておくと有益な戦略ブランディングの基礎知識をご説明していきますので、ご興味のある方はぜひご覧になってみてください。
どうぞよろしくお願いいたします。
(なお、本テーマの記事は連載形式になります。)

戦略ブランディング基礎講座第10回目のテーマは、
「ブランディング活動の第三段階<ブランド戦略実行>では具体的にどういうことをするのか?(前編)」です。

それでは行ってみましょう!

_1.神は細部に宿る
-ブランドらしさを正しく伝えるための仕組み作りとは?-

前回の記事(第9回)ではブランド戦略策定の具体的な内容と手順をお伝えしました。
戦略が出来上がったら、その次は実行段階に移ります。

せっかく作ったブランド価値向上のための戦略も、顧客はもちろんのこと、社内外のステークホルダーに対して正確に伝わり、浸透しなければ意味がありません。
そのため、戦略で定めた自社のブランドらしさを具体的にどのように表現し、効果的に伝えていくかがポイントになります。

では、顧客やステークホルダーは何をもって自社のブランド価値を認識し、理解するのでしょうか?

顧客やステークホルダーは、自社が提供する様々なタッチポイント(=顧客との接点)を通じてブランド価値を知覚していきます。
ここで「タッチポイント」とは、具体的には、広告、販促物、Web、展示会、商品パッケージ、営業部員のセールストーク、従業員の名刺や封筒といったビジネスツールなど、自社が社内外の人に向けて発信している全ての情報源のことです。

つまり、顧客やステークホルダーが目にすることができ、耳にすることができ、触れることができ、感じることができ、匂い、味わうことができるもの、つまり五感で感じとることができる全ての情報源がタッチポイントになります。

そのため、自社が訴求したいブランドらしさを正しく伝えるためには、全てのタッチポイントで顧客やステークホルダーに好意的に受け止めてもらえるような発信の仕方をしていかねばなりません。

ところが、タッチポイントごとにブランド価値の言い方や伝え方、見え方・見せ方がバラバラでは、顧客やステークホルダーは混乱し、商品やサービスを購入の選択対象から外してしまいます。
だからこそ、顧客やステークホルダーへの一貫性あるブランド体験の提供が全てのタッチポイントでなされる必要があるのです。

つまり、統一感を持たせることに十分に配慮しながら、ブランドらしさを端的な理解しやすい言葉で表現し、全てのタッチポイントでブランドが訴求したいブランド体験を一貫して顧客に提供していくのが効果的です。
したがって、全てのタッチポイントにおけるメッセージの内容や見せ方を統一感があるようにまとめる作業をします。

そこで作成したいのが「ブランドガイドライン」です。

そもそも、顧客やステークホルダーにブランド体験を提供する方法としては、「言い方・伝え方(バーバル・アイデンティティー)」という言語的な表現方法と、「見え方・見せ方(ビジュアル・アイデンティティー)」という視覚的な表現方法があります。
バーバル・アイデンティティもビジュアル・アイデンティティーも、それぞれが統一感のあるメッセージを発信していなければなりません。

また、両方が合わさってブランド全体のイメージが形作られることから、総合的な観点からも一貫性や統一性があるように細部にわたって内容を決めていく必要があります。
そういったブランド価値の言い方・伝え方や見え方・見せ方についてのルールを細部にわたって決めるものが「ブランドガイドライン」なのです。

判断に迷った時にこれに立ち戻れば、一貫性や統一性を失うことはないので、安心することができます。
そして、ブランド力向上のためには、ガイドラインに沿ったブランド表現を徹底し、社内外のブランド関係者全員で共有していきましょう。

結局、ブランディングによってブランド力が向上するかどうかは、事前の調査・分析や、戦略策定ももちろん大切ですが、実行段階において目的や理念を関係者がしっかりと共有して行動に移すことが一番大切なのです。

以上が、ブランドらしさを社内外の人々へ正しく伝えるための仕組み作りです。
これを継続して行っていくことにより、ブランドの世界観などの好ましいイメ―ジを顧客やステークホルダーの頭の中に蓄積していくことができます。

_2.ブランディングの成功はまずは足元を固めることから
-継続的なインナーブランディングの実践-

ブランドらしさを正しく伝えるための仕組みとして、ブランドガイドラインを作成しました。
ただ、作成しただけでは神棚に飾ったお飾りと一緒になってしまい、社内外に浸透しません。
ブランド価値を向上させていくためには、社内外の人々に対してブランドの目指す姿を浸透させていく活動が大切です。

そこで、社外の人向けにブランド価値を浸透させるための「アウターブランディング」と、社内の人向けの「インナーブランディング」を同時並行で行っていきます。

今回はまず、インナーブランディングの実践についてご説明していきます。
ブランドの目指す姿に合わせてビジネスのあり方や組織そのものを柔軟に変えていくことが、ブランド価値の最大化を実現するのに最も有効だからです。

逆に、経営トップを含めた全社員がブランドの目指す姿を深く共有することができていないと、その先の顧客やステークホルダーにもブランド価値が正しく伝わらないことはよくあります。

例えば、ブランドの理念として「顧客第一主義」を掲げていても、電話対応したコールセンターの社員が不親切な案内をして顧客を怒らせてしまったらどうでしょうか?
翌日までの配達をうたっている宅配会社が、予定よりも1週間遅れて配達物を届けたとしたらどうでしょうか?
ミシュラン三つ星を獲得したシェフがいる高級フランス料理店で、ラグジュアリーな空間でのおいしい料理を提供することを宣伝しているにもかかわらず、店の外観も内装も汚く、接客態度も悪く、出てきた料理も家庭料理とそう変わらないものだったらどうでしょうか?

このように、どれだけ立派なブランディング戦略を立案しても、実際に顧客やステークホルダーと接する経営者や社員たちがブランドの理念に反することをやっていたのでは、いつまでたってもブランド価値は向上しません。
それどころか、顧客やステークホルダーからの支持を急速に失い、そのブランドは衰退していくことでしょう。

したがって、戦略ブランディングによってブランド価値を向上させるために必要なのは、<ブランドらしさにふさわしい社員作り>をすることです。

そして何よりもまず、経営トップを含めた経営陣が範を示して自社のブランド価値を体現していく姿勢を取らなければなりません(もっとも、聖人君子になりましょう、というわけではありません)。
そうであってこそ、部下である社員たちも何をすれば良いのか、逆に何をしたら悪いのかの判断がつき、ブランドらしさにふさわしい行動をとれるようになるからです。

さらに、ブランドらしさを社内に浸透させ、それを継続させるためには、社員教育を定期的に行う仕組みが大切です。
自社のブランドらしさが何であるのか、その根底にある理念や目的は何なのかについてよく理解し、ブランドにふさわしい発想や考え方、行動をするのが習慣になるように、社員たちを社員教育によって育てていくのです。

世界的に有名なブランド価値が高い企業ほど、ブランドらしさに基づいたマネジメントを継続的に実行しており、インナーブランディングの重要性をよく理解しています。
したがって、日常の朝礼・終礼の機会はもちろんのこと、会議や研修の場で繰り返しインナーブランディングを行い、ブランドらしさを社員に定着させていきましょう。
上司と部下の1on1ミーティングを定期的に行い、ブランドらしさを確認し合うことなども有効です。

(次回の後編につづく)

最後までお読みいただきましてありがとうございました。

次回の戦略ブランディング基礎講座(第11回)では、「ブランディング活動の第三段階<ブランド戦略実行>では具体的にどういうことをするのか?(後編)」をテーマにご説明していきたいと思います。

それではまた次回にお会いいたしましょう。

私たち&FORCEは、東京・麹町と沖縄・那覇に拠点を置く戦略ブランディングカンパニーです。
「モノ創りを価値あるものへ」を理念に、全国の企業様への戦略ブランディング支援、戦略PR立案・実行支援を中核に事業を展開しております。

私たち&FORCEが心がけているスタンスは、「お客様に一歩先を提示して伴走する戦略ブランディングサービス」をご提供することです。
クライアント様の確かなブランド構築という目標に向かって、共創・伴走させていただきながら事業が自走していく状態になるまで戦略ブランディングサポートを継続致します。 クライアント様に1人で走っていただくようなことは致しません。

ブランディングのお仕事というのは、「考え続ける」お仕事です。
それも、独りよがりの考えではなく、クライアント様の想いやこれまでに紡いできたストーリーをしっかり汲み取って、どうやったら喜んでいただけるかを共に考えていきます。

&FORCEの「&」には、代表・瀧口幸明の<誰かと一緒に何かを作る力は無限大>という想いが込められています。
そのため、クライアント様には様々な業界・業種の方がいらっしゃいますし、弊社のメンバーも年齢・性別やバックボーンを問わず様々です。
様々な人や文化が混ざり合うことから新たな価値が生まれてくると信じております。

私たち&FORCEは、戦略ブランディングや戦略PR関連のお仕事をさせていただいておりますが、特にスタートアップ企業の経営者様や事業承継後の後継ぎ経営者様の戦略ブランディングに関するお悩みに全力で寄り添い、お応えして参りたいと思っております。

&FORCEにご興味を持っていただけましたら、いつでもお気軽にお問い合わせいただければ幸いです。
クライアント様のお役に立てることを心より願っております。

ブランディングスタートパック
開始
3ヶ月でブランドの基礎を創ります

前の記事

次の記事

[ 参考文献一覧 ]
1.デービッド・アーカー「ブランド論」(ダイヤモンド社 2015年)
2.デービッド・アーカー「ストーリーで伝えるブランド—シグネーチャーストーリーが人々を惹きつける」(ダイヤモンド社 2019年)
3.田中洋「ブランド戦略・ケースブック2.0」(同文舘出版 2021年)
4.田中洋「ブランド戦略論」(有斐閣 2017年)
5.音部大輔「The Art of Marketing マーケティングの技法」(宣伝会議 2021年)
6.羽田康祐「ブランディングの教科書:ブランド戦略の理論と実践がこれ一冊でわかる」(NextPublishing Authors Press 2020年)
7.中川淳・西澤明洋「ブランドのはじめかた」(日経BP 2010年)
8.中川淳・西澤明洋「ブランドのそだてかた」(日経BP 2017年)
9.水野学「『売る』から、『売れる』へ。水野学のブランディングデザイン講義」(誠文堂新光社 2015年)
10.西澤明洋「ブランディングデザインの教科書」(パイ インターナショナル 2020年)
11.乙幡満男「デジタル時代に知名度ゼロから成功する!ブランディング見るだけノート」(宝島社 2021年)
12.乙幡満男「ブランディングが9割」(青春出版社 2020年)
13.齋藤三希子「パーパス・ブランディング〜『何をやるか?』ではなく、『なぜやるか?』から考える」(Kindle版 2022年)
14.デザインノート編集部「デザインノート Premium 最強のブランディングデザイン: 最新デザインの表現と思考のプロセスを追う」(誠文堂新光社 2021年)
15.バイロン=シャープ・前平謙二「ブランディングの化学 誰も知らないマーケティングの法則11」(朝日新聞出版 2018年)
16.佐藤圭一「選ばれ続ける必然 誰でもできる『ブランディング』のはじめ方」(講談社 2016年)
17.丹羽真理「パーパス・マネジメント」(クロスメディア・パブリッシング 2018年)
18.山口義宏「デジタル時代の基礎知識『ブランディング』 『顧客体験』で差がつく時代の新しいルール」(翔泳社 2018年)
19.バイロン=シャープ・ジェニー=ロマニウク他「ブランディングの科学 新市場開拓編 – エビデンスに基づいた成長の新法則–」(朝日新聞出版 2020年)
20. 楠木建「ストーリーとしての競争戦略」(東洋経済新報社 2010年)
21.ジョン・ムーア「スターバックスはなぜ値下げもテレビCMもしないのに強いブランドでいられるのか?」(ディスカバー・トゥエンティワン 2014年)
22.小山田育・渡邊デルーカ瞳「ニューヨークのアートディレクターがいま、日本のビジネスリーダーに伝えたいこと」(クロスメディア・パブリッシング 2019年)
23.中川淳「経営とデザインの幸せな関係」(日経BP 2016年)
24.西口一希「たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング」(翔泳社 2019)
25.フィリップ・コトラー「コトラーのB2Bブランドマネジメント」(白桃書房 2020年)
26.片山義丈「実務家ブランド論」(宣伝会議 2021年)
27.アル・ライズ「ブランディング22の法則」(東急エージェンシー 1999年)
28.クレイトン・M・クリステンセン「ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム」(ハーパーコリンズ・ジャパン 2017年)
29. 芹澤連「“未”顧客理解 なぜ、「買ってくれる人=顧客」しか見ないのか?」(日経BP 2022年)
30. 森岡毅/今西聖貴「確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力」(KADOKAWA 2016年)

BACK