&FORCE COLUMN

&FORCEの戦略ブランディング基礎講座(第11回)
「ブランディング活動の第三段階<ブランド戦略実行>では具体的にどういうことをするのか?(後編)」
【東京・沖縄の戦略ブランディング会社】

こんにちは。&FORCEの広報担当です。
このブログでは、戦略ブランディングについての基礎的な知識を学びたい方のためのお役立ち情報を発信して参ります。

具体的には、次のようなお悩みをお持ちの方にお役立ちできる内容となっています。

「売り上げを安定的に伸ばすためにブランディングが大切って聞いたけど、そもそもブランディングって何?」

「スタートアップ企業として、認知度や信頼感を獲得するためにブランディングに取り組んでいきたいけれど、何をどれから始めたらいいかが分からない・・・。」

「親から会社を引き継いだ後継ぎなんだけど、親の世代とは時代状況も違うし、新しい時代に合わせて会社をブランディングし直してみたいんだけど、どうしたらいいんだろう?」

知っておくと有益な戦略ブランディングの基礎知識をご説明していきますので、ご興味のある方はぜひご覧になってみてください。
どうぞよろしくお願いいたします。
(なお、本テーマの記事は連載形式になります。)

戦略ブランディング基礎講座第11回目のテーマは、
「ブランディング活動の第三段階<ブランド戦略実行>では具体的にどういうことをするのか?(後編)」です。

それでは行ってみましょう!

_3.ブランドらしさを社外に浸透させるアウターブランディングを全てのタッチポイントで実践

前回の記事(第10回(前編))では、インナーブランディングの重要性についてご説明しました。

インナーブランディングをしっかり行っていないと、どれだけ有効そうなブランディング戦略を立案しても、それが社内に浸透しないからです。
それではブランドの理念や目的とは異なったちぐはぐなメッセージが経営者や社員の活動を通して顧客に伝わってしまいます。
ブランド価値の向上どころか、ブランドに対する信用が低下し、衰退していくでしょう。

したがって、ブランド価値を向上させるための取り組みが上手くいくためには、まず組織風土自体を目指すべき理想のブランドらしさに見合ったものになるように、経営トップ及び全社員がブランドらしさを体現できる存在になるように育成しなければならないのです。
ここまでが前回までのお話でした。

ただ、社内の人々にブランドらしさを浸透させることはあくまで第一段階です。
そこで終わってしまうことがゴールではありません。
組織内部だけでブランドらしさについて盛り上がっていても、それは顧客には伝わらないからです。

ブランドらしさを体現するための組織風土が出来上がったら、それを土壌にして顧客や協力会社などの社外のステークホルダーにブランドらしさを正確に伝えていかねばなりません。

社外の顧客その他のステークホルダーに対して、ブランドらしさを浸透させていくための活動のことを「アウターブランディング」といいます。

これは、顧客に対してはもちろんのこと、自社の商品やサービスが顧客の元へ届くまでの流通経路上にある卸売業者、小売店、流通業者などのすべてのステークホルダーに対してもブランドらしさを届けるための活動です。

また、アウターブランディングの対象者には、顧客に影響を与え得る家族や友人、知人といった人々も含まれます。

結論として、社外の人々に自社自身や自社の商品を認知してもらい、そして、理解・納得・共感してもらえるようなイメージ作りをするための活動がアウターブランディングなのです。
一言で言えば、ブランドらしさを社外の人々へ届くように適切な手段を使って情報発信していくことです。

それでは、アウターブランディングのための情報発信手段としてはどのようなものがあるのでしょうか?

伝統的な代表例としては、TVのCMや雑誌などの広告、チラシ、看板、店舗の外観・内装、社員の制服、パンフレット、社員の名刺、広告がラッピングされた社用車などです。
また、近年では、自社のウェブサイト(ホームページやランディングページなど)や、Twitter、Instagram、FacebookなどのSNSといったオウンドメディア(=自社が所有するメディア)を使って情報発信していくのが当たり前の世の中になっています。

つまり、自社の顧客が目にしたり耳にしたりすることが想定される情報流通経路ごとにタッチポイント(=顧客との接点)を設け、そこに最も効果的なメディア媒体を使って情報発信していくことが王道になっているのです。

ここで、アウターブランディングを行っていく上で守るべき注意点があります。
アウターブランディングで大切なのは、各タッチポイントごとにバラバラな、全体としてちぐはぐなイメージの情報発信をしないことです。
顧客から見て論理的整合性のないちぐはぐなイメージのメッセージ内容では、顧客は混乱し、ストレスを感じ、購入の選択対象からそのブランドを外してしまうことが多いからです。
ちなみに、論理的整合性とは、全体的につじつまが合っていること、前の言葉と後の言葉が自然な意味のつながりを持っていることをいいます。

以上より、アウターブランディングでは、広告、ウェブ、小売店、SNS、その他イベントなどの顧客が目にするすべてのタッチポイントにおいて、言い方や伝え方などの言語的表現、見え方・見せ方などのビジュアル的表現の内容が統一されているように注意しなければなりません。

個人と個人の関係性においても、時や場所によってコロコロ態度を変える人という印象を相手に与えてしまっては、自分を信頼してもらうことなど到底できないですよね。
逆に、時や場所が違っても、主張する内容やスタンスに一貫性がある人は、その意見自体に対する賛否両論はともかくとしても、一人の人間としては信頼されやすいと思います。

対象が顧客という一人ひとりの人間である以上は、メッセージ内容の一貫性の大切さは、企業ブランディングや商品ブランディングの世界においても同じといえます。
したがって、論理的整合性の取れた一貫性のある世界観で、ブランドが目指す理想の姿を情報発信し続けることで、顧客にブランドらしさを正確に伝えることができ、頭の中に明確なイメージを蓄積してもらうことができるようになるのです。

_4.PDCAサイクルを適切に回すための効果測定を必ず行う

ブランド価値向上のための取り組みとして、インナーブランディングとアウターブランディングを頑張って取り組んできました。

それでは、これらのブランディング活動はやりっぱなしで良いのでしょうか?

そのようなことは決してありません。
受験勉強においても、定着度や成長具合を図るために定期的にテストを行うように、ブランディングにおいても効果測定・検証をしなくては、それまでの活動が有効なものであるかどうかが分からず、意味がありません。
問題集を解きっぱなしで丸付けもしないのでは、勉強の実力がつくわけがないのと同じです。

ブランディングにおいても、ブランド価値向上のためには、絶えずブランディングの効果を測定し、フィードバックして、それをもとに改善するといったサイクルを繰り返していくことが必要なのです。

つまりは、永続的にブランド価値を高めていくためには、通常の業務改善と同じPDCAサイクル(Plan計画→Do実行→Check検証→Action改善)を回す必要があるといえます。
そういった意味では、ブランディング活動は何も特別なものではないのです。

そのため、適切なブランディング・サービスを提供するブランディング会社は、一度ブランディング戦略を策定・実行して終わりにするのではなく、クライアント企業様が自走できる状態になるまで、伴走し続けるものです。

そして、効果測定・検証の場面で特に重要なのは、効果測定から得られた問題点や課題に対して、具体的な改善策を考え、クライアント様に提示することです。
明るみになった問題点や課題に対して具体的な改善策がなければ、次にするべきことが明確にならないからです。
それでは、組織は課題克服に向けた動きをすることができません。

それでは、ブランディングの効果測定は、どのような評価指標によって行うべきでしょうか?

ブランディングは活動の結果だけを見るよりも、活動内容やプロセスの進捗度を評価する方がその効果を正確に測定することができるため、一般的にはKGI(=重要結果評価指標)よりもKPI (=重要業績評価指標)を重視することが多いです。
ただ、ブランディングの効果測定指標については、それぞれの会社ごとにブランディングの目的や重要視するものが異なるため、KPIの決め方はそれぞれです。

代表的なKPIの算出方法としては、ウェブでのブランディング活動であれば、ホームページのセッション数やクリック数、コンバージョン率、資料ダウンロード数などが指標になります。
こちらは、客観的に数値化しやすいです。

ただ、ブランディング活動は多岐に渡りますので、顧客がブランド価値を感じるのはウェブからの情報発信だけではありません。
そのため、ブランディング活動の効果のすべてを以上のような数値のみで判断することは難しいといえます。

そこで、有効な手法として考えられるのが、顧客にアンケート調査を行い、ブランドロイヤリティーや顧客満足度の向上を数値化する方法です。
アンケート調査によるKPI評価手法の代表的なものとしては、NPS(ネットプロモータースコア)や、DWB(Definitely Would Buy)、新規接触率などといった指標があります。

基礎講座の現時点においては、第一段階<調査・分析>→第二段階<戦略策定>→第三段階<戦略実行>といったブランディング活動の大きな流れに沿って、それぞれのプロセスの実現度をPDCAが1回転するごとに効果測定でチェックし、その達成度を評価基準としていくと良いでしょう。

結論として、どういったKPI評価手法を用いても、それまでのブランディング活動をしっかり分析・評価し、次からより良い内容のものに改善・改良する姿勢を組織として持ち続けることが大切です。

最後までお読みいただきましてありがとうございました。

次回の戦略ブランディング基礎講座(第12回)では、「マーケティングだけでは足りない、戦略ブランディングが必要な理由とは?」をテーマにご説明していきたいと思います。

それではまた次回にお会いいたしましょう。

私たち&FORCEは、東京・麹町と沖縄・那覇に拠点を置く戦略ブランディングカンパニーです。
「モノ創りを価値あるものへ」を理念に、全国の企業様への戦略ブランディング支援、戦略PR立案・実行支援を中核に事業を展開しております。

私たち&FORCEが心がけているスタンスは、「お客様に一歩先を提示して伴走する戦略ブランディングサービス」をご提供することです。
クライアント様の確かなブランド構築という目標に向かって、共創・伴走させていただきながら事業が自走していく状態になるまで戦略ブランディングサポートを継続致します。 クライアント様に1人で走っていただくようなことは致しません。

ブランディングのお仕事というのは、「考え続ける」お仕事です。
それも、独りよがりの考えではなく、クライアント様の想いやこれまでに紡いできたストーリーをしっかり汲み取って、どうやったら喜んでいただけるかを共に考えていきます。

&FORCEの「&」には、代表・瀧口幸明の<誰かと一緒に何かを作る力は無限大>という想いが込められています。
そのため、クライアント様には様々な業界・業種の方がいらっしゃいますし、弊社のメンバーも年齢・性別やバックボーンを問わず様々です。
様々な人や文化が混ざり合うことから新たな価値が生まれてくると信じております。

私たち&FORCEは、戦略ブランディングや戦略PR関連のお仕事をさせていただいておりますが、特にスタートアップ企業の経営者様や事業承継後の後継ぎ経営者様の戦略ブランディングに関するお悩みに全力で寄り添い、お応えして参りたいと思っております。

&FORCEにご興味を持っていただけましたら、いつでもお気軽にお問い合わせいただければ幸いです。
クライアント様のお役に立てることを心より願っております。

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[ 参考文献一覧 ]
1.デービッド・アーカー「ブランド論」(ダイヤモンド社 2015年)
2.デービッド・アーカー「ストーリーで伝えるブランド—シグネーチャーストーリーが人々を惹きつける」(ダイヤモンド社 2019年)
3.田中洋「ブランド戦略・ケースブック2.0」(同文舘出版 2021年)
4.田中洋「ブランド戦略論」(有斐閣 2017年)
5.音部大輔「The Art of Marketing マーケティングの技法」(宣伝会議 2021年)
6.羽田康祐「ブランディングの教科書:ブランド戦略の理論と実践がこれ一冊でわかる」(NextPublishing Authors Press 2020年)
7.中川淳・西澤明洋「ブランドのはじめかた」(日経BP 2010年)
8.中川淳・西澤明洋「ブランドのそだてかた」(日経BP 2017年)
9.水野学「『売る』から、『売れる』へ。水野学のブランディングデザイン講義」(誠文堂新光社 2015年)
10.西澤明洋「ブランディングデザインの教科書」(パイ インターナショナル 2020年)
11.乙幡満男「デジタル時代に知名度ゼロから成功する!ブランディング見るだけノート」(宝島社 2021年)
12.乙幡満男「ブランディングが9割」(青春出版社 2020年)
13.齋藤三希子「パーパス・ブランディング〜『何をやるか?』ではなく、『なぜやるか?』から考える」(Kindle版 2022年)
14.デザインノート編集部「デザインノート Premium 最強のブランディングデザイン: 最新デザインの表現と思考のプロセスを追う」(誠文堂新光社 2021年)
15.バイロン=シャープ・前平謙二「ブランディングの化学 誰も知らないマーケティングの法則11」(朝日新聞出版 2018年)
16.佐藤圭一「選ばれ続ける必然 誰でもできる『ブランディング』のはじめ方」(講談社 2016年)
17.丹羽真理「パーパス・マネジメント」(クロスメディア・パブリッシング 2018年)
18.山口義宏「デジタル時代の基礎知識『ブランディング』 『顧客体験』で差がつく時代の新しいルール」(翔泳社 2018年)
19.バイロン=シャープ・ジェニー=ロマニウク他「ブランディングの科学 新市場開拓編 – エビデンスに基づいた成長の新法則–」(朝日新聞出版 2020年)
20. 楠木建「ストーリーとしての競争戦略」(東洋経済新報社 2010年)
21.ジョン・ムーア「スターバックスはなぜ値下げもテレビCMもしないのに強いブランドでいられるのか?」(ディスカバー・トゥエンティワン 2014年)
22.小山田育・渡邊デルーカ瞳「ニューヨークのアートディレクターがいま、日本のビジネスリーダーに伝えたいこと」(クロスメディア・パブリッシング 2019年)
23.中川淳「経営とデザインの幸せな関係」(日経BP 2016年)
24.西口一希「たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング」(翔泳社 2019)
25.フィリップ・コトラー「コトラーのB2Bブランドマネジメント」(白桃書房 2020年)
26.片山義丈「実務家ブランド論」(宣伝会議 2021年)
27.アル・ライズ「ブランディング22の法則」(東急エージェンシー 1999年)
28.クレイトン・M・クリステンセン「ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム」(ハーパーコリンズ・ジャパン 2017年)
29. 芹澤連「“未”顧客理解 なぜ、「買ってくれる人=顧客」しか見ないのか?」(日経BP 2022年)
30. 森岡毅/今西聖貴「確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力」(KADOKAWA 2016年)

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