&FORCE COLUMN

&FORCEの戦略ブランディング基礎講座(第23回)
「ブルーオーシャンを狙った差別化戦略とその目指す先とは?」
【東京・沖縄の戦略ブランディング会社】

こんにちは。&FORCEの広報担当です。
このブログでは、戦略ブランディングについての基礎的な知識を学びたい方のためのお役立ち情報を発信して参ります。

具体的には、次のようなお悩みをお持ちの方にお役立ちできる内容となっています。

「売り上げを安定的に伸ばすためにブランディングが大切って聞いたけど、そもそもブランディングって何?」

「スタートアップ企業として、認知度や信頼感を獲得するためにブランディングに取り組んでいきたいけれど、何をどれから始めたらいいかが分からない・・・。」

「親から会社を引き継いだ後継ぎなんだけど、親の世代とは時代状況も違うし、新しい時代に合わせて会社をブランディングし直してみたいんだけど、どうしたらいいんだろう?」

知っておくと有益な戦略ブランディングの基礎知識をご説明していきますので、ご興味のある方はぜひご覧になってみてください。
どうぞよろしくお願いいたします。
(なお、本テーマの記事は連載形式になります。)

戦略ブランディング基礎講座第23回目のテーマは、
「ブルーオーシャンを狙った差別化戦略とその目指す先とは?」です。

それでは行ってみましょう!

_1.ブルーオーシャンを狙った差別化がポイント

戦略ブランディングを成功させるためのポイントとは何でしょうか?
まずは、どの競合からも邪魔されないような独自の領域を見つけ出し、その領域を自分のテリトリーにしてしまうことです。

一般的には、どの競合からも邪魔されないような独自の領域のことを「ブルーオーシャン」と呼んでいます。
ブルーオーシャンは、強力なライバルとなるような競合がほとんどいない、あるいは、競合がとても少ない領域です。
つまり、自社の強みと顧客のニーズだけが重なり合うような好ましい領域といえます。

逆に、競合がたくさん殺到して顧客をめぐって血みどろの戦いを繰り広げるような領域のことを「レッドオーシャン」と呼んでいます。
レッドオーシャンでは自社の強みと顧客のニーズが重なるだけでなく、競合の強みも重なり合ってくる領域になりますので、必然的に激戦になります。

競合同士が激戦を繰り返すうちに、各ブランドの独自性が失われて同質化が進み、最終的には低価格競争に陥ります。
低価格競争の下では、各ブランドとも働けども働けども楽にならないという悪循環が起こります。
そのため、戦略ブランディングを成功させるためには、まずはレッドオーシャンを避け、ブルーオーシャンとなる領域がないかどうかを探し出すことから始めると良いでしょう。

とは言え、顧客の価値観が多様化し、しかも、類似商品で溢れかえっている現代の成熟市場においては、ブルーオーシャンを見つけることはなかなか難しいです。
綿密な市場調査を事前に行い、効果的なセグメンテーション(=市場の細分化)を行えるような複数の軸(人口統計学的な軸と心理学的な軸の2つの軸が基本)を見つけ出し、ブルーオーシャン、もしくはブルーオーシャンに近いセグメント(=細分化された市場)を見つけ出していくしかないでしょう。

ただし、それでも同じセグメントの中には競合ブランドがいくつか存在するはずです。
どんなに上手くセグメンテーションを行ってブルーオーシャンに近いセグメントを探し出せたとしても、競合が全くいないセグメントというのは現実にはなかなか存在しないからです。

そこで次に、競合との明確な差別化を図っていく必要があります。
差別化は市場の中での競争上の地位(リーダー、チャレンジャー、ニッチャー、フォロワー)がどのようなポジションであっても、戦略ブランディングが成功するかどうかの重要なファクターになります。

差別化を図る上で大切なポイントの一つ目は、顧客から見て価値があると認められる差別化かどうかです。
そもそも、顧客によって他のブランドと差別化された独自性ある価値だと認めてもらえなければ、ブランド価値は生まれないからです。

例えば、家の近所に何も変わり映えのしない小規模なスーパーと大型スーパーがあったとしましょう。
小規模なスーパーに通う顧客もいるとは思いますが、多くの顧客は大型スーパーの方に買い物に行くのではないでしょうか。
大型スーパーの方が品揃えが豊富だからです。

それは、商品の種類がたくさんあって、しかも、各商品の品数が多いため、ほとんど品切れの心配がなく、いつも欲しいものが手に入る状態にあるからです。
つまり、顧客にとって「いつも欲しいものが手に入る状態」という価値が大型スーパーが提供しているブランド価値と言えるのです。

また、大量仕入れによってコストダウンを図り、他のスーパーよりも安い価格で商品を提供していることも多いです。
そのことも大型スーパーのブランド価値の1つになり得ます。

もちろん、小規模なスーパーであっても、そこでしか手に入らない商品をわずかながらも揃えていたり、サービス面で細やかな気配りが行き届いていて地域の顧客から人気があったりすれば話は別です。
小規模なスーパーが地域の顧客に独自の価値を提供できていれば、それ自体がブランド価値になります。

差別化を図る上でのポイントの2つ目は、なるべく競合から真似されにくい価値を作り出すことです。
つまり、独自技術を使った製法や、独自の仕入れルートからの原材料の仕入れ、独自の流通網構築などといった、競合がすぐには真似できないような価値のことです。
競合が真似しやすいような価値提供ですと、すぐに真似されて多数の競合が参入してくるため、レッドオーシャンになりやすいです。

以上見てきたように、戦略ブランディングの成功のポイントは、「ブルーオーシャンを狙った差別化」をすることにあります。
その際、競合が少ない領域を見つけ出し、しかも、自社ブランドに顧客が価値を感じてもらえるような「違い」の創出(=差別化)が必要になるのです。

したがって、戦略ブランディングを成功させるために、「違い」が分かりやすく、かつ、ターゲットとしている顧客層が求めるものを創り出し、効果的なアプローチで提供していくようにしましょう。
差別化されたブランドは最終的に顧客のもとに届いて満足してもらってこそ、ブランド価値が認められるものだからです。

_2.ブルーオーシャン狙いの差別化をした先に何を目指すのか?

差別化をした先に目指すものとは、ターゲット顧客層の頭の中でイメージされる一番のブランドになることです。
つまり、ブランド占有率1位 (マインドシェア1位)を目指すのです。

そもそも、ブランド価値というものは、ブランドの売り手の側が決めるものではなく、最終的に顧客の頭の中にイメージされる価値だからです。
実際、ブランド占有率が2位以下のブランドですと、ターゲットの顧客層になかなか覚えてもらえない悲しさがあります。

人間の頭脳の記憶容量にはどうしても限界があって、特に必要性がなければ記憶の奥底にブランドイメージが沈んでしまうからです。
悲しい言い方ですが、忘れられたブランドと言っても良いでしょう。

初の大西洋横断単独無着陸飛行に成功したのはチャールズ・リンドバーグが有名ですが、2番目に成功したパイロットの名前を覚えている人は少ないと思います。
そのパイロットの名はバート・ヒンクラーです。
彼はリンドバーグよりも少ない燃料、かつ、短時間で大西洋横断飛行に成功していますので、パイロットとしての腕は上だったかもしれません。

また、4年に1度行われるアメリカ合衆国の大統領選挙はアメリカ合衆国国民のみならず、世界が注目する選挙になりますが、大統領に当選した候補を1位としますと、2位以下の敗れ去った候補のことをいつまで覚えているでしょうか。
アメリカの歴史などに特に詳しい人や興味がある人でなければ、多くの人は覚えていないでしょう。

つまり、これらの例からご理解いただけると思いますが、2位以下のブランドはいずれ顧客の頭の中のイメージから消去され、忘れ去られてしまう運命にあるといえます。
実際に、ブランド認知率調査などの統計データによると、フォロワーブランドになりますと顧客マインドシェアが10%以下にまで落ち込んでしまいます。
したがって、差別化をした先に目指すべきものとは、ブランド占有率1位を目指すことなのです。

なお、1位を目指すべき別の理由としては、買い物に失敗したくないという顧客心理もあります。
1位のブランドであれば、他の多くの人々も買っているという安心感が得られるのです。
ブランド同士を比較検討する暇もないのでよく調べていないから分からないけど、とりあえず1位のブランドを選んで買っておけば、失敗することはないだろうと安心できるのです。
そのため、顧客に安心して自社ブランドを選んでもらうようにするためにも、ブランド占有率1位を目指すべきなのです。

それでは、トップブランドの具体的なメリットとはどういうものなのでしょうか?
1つ目は、前述のように、競合ブランドに埋もれず、選ばれやすいことがあります。
2つ目は、顧客と流通ルートの取引先の双方に対して有利な価格を提示できることがあります。
ブランド価値への安心感や売れる見込みの高さなどから、値下げ販売の圧力を受けることなく、自社ブランドに有利な価格を提示できるのです。

これに関連して、流通面での取引条件も有利に交渉することができます。
例えば、商品が物である場合には、小売店に商品を陳列してもらう必要があります。
ただ、小売店も利益を上げなければなりませんので、売れる見込みの高い商品でなければなかなか商品棚に陳列してもらえません。

ところが、ブランド価値の高い商品、中でもブランド占有率1位の商品は売れる見込みがとても高いため、小売店も優先的に棚のスペースを提供してくれることになります。
トップブランドは、いわば棚占有率を広く確保できるのです。

最後に、トップブランドになるメリットは、顧客からのリピート率がアップすることです。
ブランド価値があるものは顧客がファンになりやすいため、1回の購入で終わることなく、顧客からの信頼が継続すればするほど、リピート購入し続けてもらえるのです。

_3.まずは限定された狭い領域でナンバーワンブランドを目指す

戦略ブランディングを成功させるためのポイントとして、ブルーオーシャンを狙った差別化をすることと前述しました。
そして、差別化をした先に狙うのはブランド占有率1位を獲得することでしたね。

もっとも、1位と言っても、初めのうちは業界全体で1位になる必要はなく、差別化されたある特定の分野や領域内で1位を目指すことが基本戦略になります。
経営資源は限られており、いきなり全ての分野や領域で1位を目指すことは現実的ではないからです。

具体的な手順としましては、綿密な市場調査をしてセグメンテーション(=市場の細分化)を進めていきます。
そして、自社ブランドの強みを生かせるような、1位を目指せる分野を見つけ出します(ターゲティングします)。

次に、その分野の顧客ニーズを満たせるような商品を開発・提供し、ブランド占有率1位を獲りに行きます。
そのためには、戦略ブランディングを行い、他ブランドよりも優れていること(=自社ブランドの強み)を鮮明化して、効果的にターゲット顧客層に伝えていくようにするのです。

前回(第22回)までの記事で市場内の競争地位別の基本戦略についてはご説明しましたので、そちらを復習していただきながら、どのポジションであってもブルーオーシャンを狙った効果的な差別化をすることが戦略ブランディングの成功のポイントであることを押さえておきましょう。

最後までお読みいただきましてありがとうございました。

次回の戦略ブランディング基礎講座(第24回)では、「ポジショニングの大切さとリブランディング」をテーマにご説明していきたいと思います。

それではまた次回にお会いいたしましょう。

私たち&FORCEは、東京・麹町と沖縄・那覇に拠点を置く戦略ブランディングカンパニーです。
「モノ創りを価値あるものへ」を理念に、全国の企業様への戦略ブランディング支援、戦略PR立案・実行支援を中核に事業を展開しております。

私たち&FORCEが心がけているスタンスは、「お客様に一歩先を提示して伴走する戦略ブランディングサービス」をご提供することです。
クライアント様の確かなブランド構築という目標に向かって、共創・伴走させていただきながら事業が自走していく状態になるまで戦略ブランディングサポートを継続致します。 クライアント様に1人で走っていただくようなことは致しません。

ブランディングのお仕事というのは、「考え続ける」お仕事です。
それも、独りよがりの考えではなく、クライアント様の想いやこれまでに紡いできたストーリーをしっかり汲み取って、どうやったら喜んでいただけるかを共に考えていきます。

&FORCEの「&」には、代表・瀧口幸明の<誰かと一緒に何かを作る力は無限大>という想いが込められています。
そのため、クライアント様には様々な業界・業種の方がいらっしゃいますし、弊社のメンバーも年齢・性別やバックボーンを問わず様々です。
様々な人や文化が混ざり合うことから新たな価値が生まれてくると信じております。

私たち&FORCEは、戦略ブランディングや戦略PR関連のお仕事をさせていただいておりますが、特にスタートアップ企業の経営者様や事業承継後の後継ぎ経営者様の戦略ブランディングに関するお悩みに全力で寄り添い、お応えして参りたいと思っております。

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クライアント様のお役に立てることを心より願っております。

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[ 参考文献一覧 ]
1.デービッド・アーカー「ブランド論」(ダイヤモンド社 2015年)
2.デービッド・アーカー「ストーリーで伝えるブランド—シグネーチャーストーリーが人々を惹きつける」(ダイヤモンド社 2019年)
3.田中洋「ブランド戦略・ケースブック2.0」(同文舘出版 2021年)
4.田中洋「ブランド戦略論」(有斐閣 2017年)
5.音部大輔「The Art of Marketing マーケティングの技法」(宣伝会議 2021年)
6.羽田康祐「ブランディングの教科書:ブランド戦略の理論と実践がこれ一冊でわかる」(NextPublishing Authors Press 2020年)
7.中川淳・西澤明洋「ブランドのはじめかた」(日経BP 2010年)
8.中川淳・西澤明洋「ブランドのそだてかた」(日経BP 2017年)
9.水野学「『売る』から、『売れる』へ。水野学のブランディングデザイン講義」(誠文堂新光社 2015年)
10.西澤明洋「ブランディングデザインの教科書」(パイ インターナショナル 2020年)
11.乙幡満男「デジタル時代に知名度ゼロから成功する!ブランディング見るだけノート」(宝島社 2021年)
12.乙幡満男「ブランディングが9割」(青春出版社 2020年)
13.齋藤三希子「パーパス・ブランディング〜『何をやるか?』ではなく、『なぜやるか?』から考える」(Kindle版 2022年)
14.デザインノート編集部「デザインノート Premium 最強のブランディングデザイン: 最新デザインの表現と思考のプロセスを追う」(誠文堂新光社 2021年)
15.バイロン=シャープ・前平謙二「ブランディングの化学 誰も知らないマーケティングの法則11」(朝日新聞出版 2018年)
16.佐藤圭一「選ばれ続ける必然 誰でもできる『ブランディング』のはじめ方」(講談社 2016年)
17.丹羽真理「パーパス・マネジメント」(クロスメディア・パブリッシング 2018年)
18.山口義宏「デジタル時代の基礎知識『ブランディング』 『顧客体験』で差がつく時代の新しいルール」(翔泳社 2018年)
19.バイロン=シャープ・ジェニー=ロマニウク他「ブランディングの科学 新市場開拓編 – エビデンスに基づいた成長の新法則–」(朝日新聞出版 2020年)
20. 楠木建「ストーリーとしての競争戦略」(東洋経済新報社 2010年)
21.ジョン・ムーア「スターバックスはなぜ値下げもテレビCMもしないのに強いブランドでいられるのか?」(ディスカバー・トゥエンティワン 2014年)
22.小山田育・渡邊デルーカ瞳「ニューヨークのアートディレクターがいま、日本のビジネスリーダーに伝えたいこと」(クロスメディア・パブリッシング 2019年)
23.中川淳「経営とデザインの幸せな関係」(日経BP 2016年)
24.西口一希「たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング」(翔泳社 2019)
25.フィリップ・コトラー「コトラーのB2Bブランドマネジメント」(白桃書房 2020年)
26.片山義丈「実務家ブランド論」(宣伝会議 2021年)
27.アル・ライズ「ブランディング22の法則」(東急エージェンシー 1999年)
28.クレイトン・M・クリステンセン「ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム」(ハーパーコリンズ・ジャパン 2017年)
29. 芹澤連「“未”顧客理解 なぜ、「買ってくれる人=顧客」しか見ないのか?」(日経BP 2022年)
30. 森岡毅/今西聖貴「確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力」(KADOKAWA 2016年)

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