&FORCE COLUMN

&FORCEの戦略ブランディング基礎講座(第27回)
「理想的なブランドパーソナリティの鮮明化とは?」
【東京・沖縄の戦略ブランディング会社】

こんにちは。&FORCEの広報担当です。
このブログでは、戦略ブランディングについての基礎的な知識を学びたい方のためのお役立ち情報を発信して参ります。

具体的には、次のようなお悩みをお持ちの方にお役立ちできる内容となっています。

「売り上げを安定的に伸ばすためにブランディングが大切って聞いたけど、そもそもブランディングって何?」

「スタートアップ企業として、認知度や信頼感を獲得するためにブランディングに取り組んでいきたいけれど、何をどれから始めたらいいかが分からない・・・。」

「親から会社を引き継いだ後継ぎなんだけど、親の世代とは時代状況も違うし、新しい時代に合わせて会社をブランディングし直してみたいんだけど、どうしたらいいんだろう?」

知っておくと有益な戦略ブランディングの基礎知識をご説明していきますので、ご興味のある方はぜひご覧になってみてください。
どうぞよろしくお願いいたします。
(なお、本テーマの記事は連載形式になります。)

戦略ブランディング基礎講座第27回目のテーマは、
「理想的なブランドパーソナリティの鮮明化とは?」です。

それでは行ってみましょう!

_1.ブランドパーソナリティとは?

顔と名前をすぐに覚えてもらいやすい人は、学校生活や仕事でも、あるいは地域の交流などでも、良好な人間関係を築いていくのに得ですよね。
これは、企業ブランドや商品ブランドなどの世界でも同じです。
ターゲット顧客の印象に強く残るブランドがあるかと思えば、類似商品の激しい競争の中で埋もれてしまい、全く印象に残らず、市場から消え去っていくブランドもあります。
ターゲット顧客の頭の中に強いイメージを形成しているブランドは共通して、個性的なブランドパーソナリティーを持っています。

ここで、「ブランドパーソナリティー」とは、人それぞれに個性的な人格(キャラクター)があるのと同じように、ブランドを特徴づける人格のことをいいます(*法律学上の「法人格」とは異なる意味で使われています)。
一人の人間においても「誠実で優しい」「知的だ」「力強い」「いざと言う時、頼りがいがある」など、その人の特徴を表す言葉があります。
それと同じように、ブランドにおいてもブランドの特徴ある個性(キャラクター)を言葉やビジュアルで明確化したものが「ブランドパーソナリティー」なのです。

例えば、トヨタ自動車のブランドパーソナリティーを言葉で表すと「誠実・堅実」と言えますね。
スターバックスですと「都会的・センスが良い」がブランドパーソナリティーと言って良いでしょう。
ブランドパーソナリティーが明確ではないブランドは、顧客の目から見た時に特徴のないブランドという印象になってしまい、覚えてもらうことができません。
人間と同じように、ブランドもその個性が特徴的で強い方が顧客に覚えてもらいやすいのです(もちろん、悪目立ちするのはお勧めしませんが。)。
そして、他者が容易に真似できないブランドパーソナリティーを形成することができれば、競合他社と明確に差別化を図ることができ、そのブランドは今後強いブランドへと成長していきます。
強いブランドには共通して、確立された個性としてのブランドパーソナリティーが認められるからです。

_2.個性あるブランドパーソナリティを生み出すには?

それでは、確立された個性として認められるような、理想的なブランドパーソナリティーを生み出すにはどのようにしたら良いのでしょうか?

そもそも、「ブランディング」とは、ブランドとしてどうありたいか/お客様にどう思われたいかという2つの視点から共通のイメージを醸成し、合致させていくための活動です。

例えば、企業そのもののブランディングですと、まずは創業者の原体験にまでさかのぼってブランドの中核となる価値観や理念を深掘りし、ブランドとしてどうありたいかを定義していきます。
創業者の原体験から来る想いにさかのぼって始めないことには、ブランディングの起点が定まらず、当然ながら顧客からどう思われたいかという次の視点も考えることができないからです。

企業ブランドとしてどうありたいかを定義することができたら、次に、2つ目の視点である顧客からどう思われたいかの視点でブランドパーソナリティーを考えていきます。
理想的なブランドパーソナリティー創りには、顧客目線からの分析が有効です。
ブランドパーソナリティーが好ましいものであるかどうか、印象に残るものであるかどうかは、顧客の頭の中で決められるものだからです。
個性あるブランドパーソナリティーを生み出すのが目的ですから、他のブランドとは違う自分のブランドならではの強みを活かせるような特徴を考えてみましょう。
企業ブランドの多くの場合、独自の強みは創業者の原体験にまで遡ったストーリーの中に眠っていることが多いです。
原体験は誰にも真似ができないものだからです。
そうであるからこそ、創業者の原体験にまでさかのぼって事業にかける熱い想いを掘り起こす必要があったのです。

それでは、具体的に見ていきましょう。
例えば、安く原材料を入手できる仕入れルートを構築していて、かつ、効率良く配送ができる販売ルートも持っているブランドの場合には、他のブランドよりも低価格で販売できるのが強みになります。
ただし、「激安・低価格」だけをブランドパーソナリティーの特徴として定義するのでは、他のブランドの多くも激安・低価格を歌っている場合にはその他大勢に埋もれてしまいがちです。
そこで、他のブランドとは差別化された独自性ある価値を認めてもらえるような、個性あるブランドパーソナリティーにするために、別の視点からの効果的な言葉を付け加えて価値をより鮮明化すると良いでしょう。

具体的なポイントは、ありきたりな特徴を表す言葉にプラスして、別の視点から見た特徴を表す効果的な言葉を付け加えることです。
例えば、「激安」や「低価格」というありきたりな特徴を表す言葉にプラスして、「ムダを省いた地球環境に優しい」ブランドとして、ブランドパーソナリティーを構築してみると良いでしょう。
「激安」や「低価格」といった言葉は、自社の強みをストレートに活かすことができる低コスト好きなファン層に向けてのメッセージになります。

ただ、それだけでは、競合する他のブランドとの差別化が上手くできませんので、「ムダを省いた地球環境に優しい」という新しい視点からの言葉を付け加えることにより差別化を図ります。
そうすると、地球環境保護に強い関心のある顧客層の心をも掴むことができます。
つまり、単に低コスト好きなファンだけでなく、低コストも好きである上にエコ重視のファン層の心をもつかむことができるのです。

まとめますと、ブランドパーソナリティーを個性あるものとして際立たせるには、ブランドの強みを活かせるようないくつかの言葉と言葉を掛け合わせて独自の価値を鮮明化させると良いでしょう。
つまり、特徴をより一層鮮明化してブランドを際立たせるためには、特徴を表現する言葉と言葉の掛け算が有効なのです。

_3.理想的なブランドパーソナリティ創りのための4つのポイント

理想的なブランドパーソナリティーとは、ブランドの目指す姿が実現したものと言っても良いでしょう。
ターゲット顧客の頭の中に自分のブランドの理想的な姿をイメージしてもらうためには、すべてのタッチポイント(=顧客接点)における顧客のブランド体験が適切に提供される必要があります。
このブランド体験が適切であればあるほど、顧客の頭の中に好ましいイメージとしてブランドパーソナリティが形成され、ブランド価値の向上に結びつくのです。

ここで、理想的なブランドパーソナリティー創りのための4つのチェックポイントがあります。
以下、具体的に見ていきましょう。

(1)ブランドが提供する商品自体が機能的価値や情緒的価値、自己表現的価値を感じさせるものであるか?
(*これら3つの価値については、第25回の記事で詳しく説明しておりますので、ご存知のない方はぜひご覧になってください)

そもそも、商品そのものがブランドの目指す姿を体現するものになっていなければ、顧客の頭の中に好ましいブランドパーソナリティーとしてイメージされないからです。

(2)商品を提供するための空間とチャネル(=流通ルート)が、ブランドの目指す姿を体現するような、顧客にとって居心地の良さを感じさせるものになっているか?

例えば、高級ブランドバッグや化粧品などを提供するためには、顧客から見てラグジュアリー感のある店舗設計が必要です。
ディスカウントストアの商品棚に他の商品と雑多な感じで並べられていたのでは、高級感を感じることができず、顧客にちぐはぐなイメージを持たせてしまうことになります。
その空間とチャネルによって、ブランドが提供する商品を顧客にどう見てもらい、どう感じてもらいたいのかを適切に設計する必要があります。

(3)顧客に接する従業員の行動はブランドが目指す姿にかなったものか?

せっかく価値のある商品や、それを提供するための空間とチャネルを相応しいものに設計しても、顧客に接する従業員がその価値を体現できていなければ、顧客はブランド価値を感じません。
従業員にブランドが目指す姿を体現させるためのレクチャーと訓練を日常的に施しておく必要があります。

(4)理想的なブランドパーソナリティーを顧客の頭の中に構築するためのコミュニケーションは適切か?

ブランドの目指す姿として伝えたいメッセージの核心は何か、集客のための情報媒体は何を使い、どのように発信していくべきかを戦略として練る必要があります。
コミュニケーションの内容ややり方が不適切ですと、顧客の頭の中にブランドが目指す姿をイメ―ジさせることができないからです。

以上の4つのチェックポイントを常に考えながら、整合性の取れたメッセージと統一感のある世界観を打ち出すことで、理想的なブランドパーソナリティーを構築することができます。
それが適切にできたときに、顧客から永く愛されるような強いブランドパーソナリティーになることができるのです。

最後までお読みいただきましてありがとうございました。

次回の戦略ブランディング基礎講座(第28回)では、「ブランド『らしさ』を創るために大切な要素とは?」をテーマにご説明していきたいと思います。

それではまた次回にお会いいたしましょう。

私たち&FORCEは、東京・麹町と沖縄・那覇に拠点を置く戦略ブランディングカンパニーです。
「モノ創りを価値あるものへ」を理念に、全国の企業様への戦略ブランディング支援、戦略PR立案・実行支援を中核に事業を展開しております。

私たち&FORCEが心がけているスタンスは、「お客様に一歩先を提示して伴走する戦略ブランディングサービス」をご提供することです。
クライアント様の確かなブランド構築という目標に向かって、共創・伴走させていただきながら事業が自走していく状態になるまで戦略ブランディングサポートを継続致します。 クライアント様に1人で走っていただくようなことは致しません。

ブランディングのお仕事というのは、「考え続ける」お仕事です。
それも、独りよがりの考えではなく、クライアント様の想いやこれまでに紡いできたストーリーをしっかり汲み取って、どうやったら喜んでいただけるかを共に考えていきます。

&FORCEの「&」には、代表・瀧口幸明の<誰かと一緒に何かを作る力は無限大>という想いが込められています。
そのため、クライアント様には様々な業界・業種の方がいらっしゃいますし、弊社のメンバーも年齢・性別やバックボーンを問わず様々です。
様々な人や文化が混ざり合うことから新たな価値が生まれてくると信じております。

私たち&FORCEは、戦略ブランディングや戦略PR関連のお仕事をさせていただいておりますが、特にスタートアップ企業の経営者様や事業承継後の後継ぎ経営者様の戦略ブランディングに関するお悩みに全力で寄り添い、お応えして参りたいと思っております。

&FORCEにご興味を持っていただけましたら、いつでもお気軽にお問い合わせいただければ幸いです。
クライアント様のお役に立てることを心より願っております。

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[ 参考文献一覧 ]
1.デービッド・アーカー「ブランド論」(ダイヤモンド社 2015年)
2.デービッド・アーカー「ストーリーで伝えるブランド—シグネーチャーストーリーが人々を惹きつける」(ダイヤモンド社 2019年)
3.田中洋「ブランド戦略・ケースブック2.0」(同文舘出版 2021年)
4.田中洋「ブランド戦略論」(有斐閣 2017年)
5.音部大輔「The Art of Marketing マーケティングの技法」(宣伝会議 2021年)
6.羽田康祐「ブランディングの教科書:ブランド戦略の理論と実践がこれ一冊でわかる」(NextPublishing Authors Press 2020年)
7.中川淳・西澤明洋「ブランドのはじめかた」(日経BP 2010年)
8.中川淳・西澤明洋「ブランドのそだてかた」(日経BP 2017年)
9.水野学「『売る』から、『売れる』へ。水野学のブランディングデザイン講義」(誠文堂新光社 2015年)
10.西澤明洋「ブランディングデザインの教科書」(パイ インターナショナル 2020年)
11.乙幡満男「デジタル時代に知名度ゼロから成功する!ブランディング見るだけノート」(宝島社 2021年)
12.乙幡満男「ブランディングが9割」(青春出版社 2020年)
13.齋藤三希子「パーパス・ブランディング〜『何をやるか?』ではなく、『なぜやるか?』から考える」(Kindle版 2022年)
14.デザインノート編集部「デザインノート Premium 最強のブランディングデザイン: 最新デザインの表現と思考のプロセスを追う」(誠文堂新光社 2021年)
15.バイロン=シャープ・前平謙二「ブランディングの化学 誰も知らないマーケティングの法則11」(朝日新聞出版 2018年)
16.佐藤圭一「選ばれ続ける必然 誰でもできる『ブランディング』のはじめ方」(講談社 2016年)
17.丹羽真理「パーパス・マネジメント」(クロスメディア・パブリッシング 2018年)
18.山口義宏「デジタル時代の基礎知識『ブランディング』 『顧客体験』で差がつく時代の新しいルール」(翔泳社 2018年)
19.バイロン=シャープ・ジェニー=ロマニウク他「ブランディングの科学 新市場開拓編 – エビデンスに基づいた成長の新法則–」(朝日新聞出版 2020年)
20. 楠木建「ストーリーとしての競争戦略」(東洋経済新報社 2010年)
21.ジョン・ムーア「スターバックスはなぜ値下げもテレビCMもしないのに強いブランドでいられるのか?」(ディスカバー・トゥエンティワン 2014年)
22.小山田育・渡邊デルーカ瞳「ニューヨークのアートディレクターがいま、日本のビジネスリーダーに伝えたいこと」(クロスメディア・パブリッシング 2019年)
23.中川淳「経営とデザインの幸せな関係」(日経BP 2016年)
24.西口一希「たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング」(翔泳社 2019)
25.フィリップ・コトラー「コトラーのB2Bブランドマネジメント」(白桃書房 2020年)
26.片山義丈「実務家ブランド論」(宣伝会議 2021年)
27.アル・ライズ「ブランディング22の法則」(東急エージェンシー 1999年)
28.クレイトン・M・クリステンセン「ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム」(ハーパーコリンズ・ジャパン 2017年)
29. 芹澤連「“未”顧客理解 なぜ、「買ってくれる人=顧客」しか見ないのか?」(日経BP 2022年)
30. 森岡毅/今西聖貴「確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力」(KADOKAWA 2016年)

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