&FORCE COLUMN

&FORCEの戦略ブランディング基礎講座(第28回)
「ブランド『らしさ』を創るために大切な要素とは?」
【東京・沖縄の戦略ブランディング会社】

こんにちは。&FORCEの広報担当です。
このブログでは、戦略ブランディングについての基礎的な知識を学びたい方のためのお役立ち情報を発信して参ります。

具体的には、次のようなお悩みをお持ちの方にお役立ちできる内容となっています。

「売り上げを安定的に伸ばすためにブランディングが大切って聞いたけど、そもそもブランディングって何?」

「スタートアップ企業として、認知度や信頼感を獲得するためにブランディングに取り組んでいきたいけれど、何をどれから始めたらいいかが分からない・・・。」

「親から会社を引き継いだ後継ぎなんだけど、親の世代とは時代状況も違うし、新しい時代に合わせて会社をブランディングし直してみたいんだけど、どうしたらいいんだろう?」

知っておくと有益な戦略ブランディングの基礎知識をご説明していきますので、ご興味のある方はぜひご覧になってみてください。
どうぞよろしくお願いいたします。
(なお、本テーマの記事は連載形式になります。)

戦略ブランディング基礎講座第28回目のテーマは、
「ブランド『らしさ』を創るために大切な要素とは?」です。

それでは行ってみましょう!

_1.ブランド要素(ブランドエレメント)とは何か?

類似商品で溢れかえっている成熟市場の中で生き残るには、ターゲット顧客層から認知され、かつ、選ばれるブランドにならなければなりません。
選ばれるブランドになるためには、顧客の頭の中に他のブランドとは差別化された独自性ある価値あるもの(=ブランド価値)というイメージを持ってもらう必要があります。
そのため、企業や事業、あるいは商品の独自性を掘り起こして鮮明化することで他のブランドと差別化を図ります。
そして、商品の独自性を世の中に広く知ってもらい、ひいては理解や共感を得るための活動をしていきます。
この活動がブランディングです。
ここで差別化された独自性ある価値とは、平たく言えば「〇〇らしさ」のことです。
また、顧客の頭の中に「〇〇と言えば、△△(ブランド名)」というイメージができていることがブランド価値がある状態といえます。

それでは、ブランド「らしさ」を創るにはどのようにすれば良いのでしょうか?
ブランド「らしさ」を創るための要素のことを「ブランド要素(=ブランドエレメント)」といいます。
このブランド要素は、大きく分けて3つの要素から成り立っており、(1)視覚的な要素(ビジュアル)、(2)言語的な要素(バーバル)、(3)その他五感に訴える要素があります。
以下、各ブランド要素を具体的に見ていきましょう。

(1)視覚的な要素(ビジュアル)

ブランド「らしさ」を視覚的に表現するものとしては、ロゴやシンボル、パッケージデザイン、キャラクター、カラーなどがあります。
人間は視覚的な印象から受ける影響が最も強いと言われていますので、効果的にブランドの「らしさ」を視覚的に表現したものを創ることができれば、魅力的な差別化を図れるでしょう。
例えば、ロゴがかっこいいと、そのロゴがついた商品を購入して所有したり、さらには身につけたりします。
そうすると、まるで自分もかっこいい世界観の中の一員になれたかのような高揚感を感じることができますよね。
このロゴ創りはとても重要なものになりますので、後ほど詳しくご説明します。

(2)言語的な要素(バーバル)

ブランド「らしさ」を言葉や文章で言語的に表現するものとしては、①ブランド名(=ブランドネーム)、②ブランドスローガン、③ブランドステートメントなどがあります。
ブランド要素の中でも言語的な要素は、視覚的な要素だけでは伝えにくい細かなニュアンスを正確に伝えるためのものですので、特に、受け手が理解できなければ意味がないものといえます。
また、顧客にすぐに覚えてもらいやすい言葉や文章であることも必要です。
すぐに覚えてもらいやすい言語的表現でなければ差別化ができず、類似商品の中に埋もれてしまうからです。

一つ一つ具体的に見ていきましょう。

①ブランド名とは、文字通り、そのブランドにつけられた名前のことです。
読みやすく発音しやすい名前であって、永く愛される意味が込められたブランド名を創りましょう。

②ブランドスローガンとは、顧客の注意を惹きつけ、かつ、記憶に残りやすくするために、企業ブランディングの体系全体をできるだけシンプルな文章の形で表現したものです。
ワンフレーズ、つまり、一文ですっきりと短くまとめられることが多いです。
通りすがりの顧客の目をパッと引きつけて、しかも記憶に残りやすくするためには、短いワンフレーズでキャッチーなブランドスローガンを創ることが効果的だからです。

③ブランドステートメントとは、ブランドがターゲット顧客や世間の人々に一番伝えたいコンセプト(中核概念)を分かりやすく、しかも、心に響く文章の形にして表現したものです。
短いワンフレーズで語られるブランドスローガンだけでは伝え切れない、細かなブランド「らしさ」のニュアンスを伝えて、顧客や世間の人々から理解、納得、共感を得られるようにするための文章です。
そのため、ブランドステートメントはある程度の分量を伴う文章であり、ミッションやビジョン、バリューなどを明文化して、ブランドの全ての活動の拠り所となる考え方を表現します。

このように、ブランドスローガンとブランドステートメントはそれぞれの役割が異なるといえます。
ブランドステートメントは、ブランドスローガンの弱点を補完し、ブランド「らしさ」のより細かなニュアンスまでをも伝える役割を担います。

ブランドの独自性を真摯な姿勢で掘り起こし、それを顧客や生活者、ひいては社会全体に伝えたいメッセージとして、発信者が意図するままに正確に理解してもらえる文章を創りましょう。

特に最近では、ストーリーテリング(=メッセージを物語形式で伝える方法)の有効性が見直されつつあり、ブランドのコンセプトを短い物語形式で伝える企業も増えてきました。
物語形式の方が多くの人々からの理解や共感を得られやすいからです。

(3)その他、五感に訴える要素

ブランドらしさを五感に訴える要素としては、音や匂い、手触りなどもあります。
例えば、特徴的な歌のワンフレーズが流れてくると、そのブランド名を思い出してしまうのも五感(聴覚)に訴える要素の1つです。
また、香水や化粧品などでは、嗅覚にブランド「らしさ」を訴える要素として、匂いが重要な役割を果たしています(アメリカでは匂いの特許があるほどです)。

デパートの1階に女性用の化粧品コーナーがたくさん設置されているのは、化粧品が放つ良い香りが上の階にまで浸透するようにとの配慮から来ているようです。
匂いによるブランディングと言って良いでしょう。
さらに、高級毛布や衣類などでは、手触りや肌触りといった触感に与える心地良さを売りにしているブランドがあります。
これも五感(触感)に訴えるブランド要素の1つと言えますね。

_2.トーン&マナーとは?

ブランド「らしさ」のイメージを創るものとして、様々なブランド要素を見てきました。
ただ、これらのブランド要素がそれぞれ勝手に創られて、結果的にバラバラなイメージを顧客や世間の人々に与えてしまっていたのでは、他のブランドと差別化された独自性ある価値を持てません。

むしろ、そのブランドはちぐはぐなイメージを与えるものとして顧客を混乱させ、やがて顧客は頭の中からそのブランドを消去してしまうことになります。
そのため、各ブランド要素をバラバラに考えるのではなく、全てをまとめて一体のものとして考えていく必要があります。
こうすることで、統一感のあるブランド表現を実現することができるからです。

そこで、ブランド創りに携わる多くの人たちがブランドの世界観を統一的に表現できるようにするために、「トーン&マナー(トンマナ)」というルールブックをつくります。
「トーン&マナー」があることで、外部の協力会社(広告代理店やデザイン会社)と共同でブランディングをする時の共通認識作りに役立ちます。
また、「広告や販促物などのデザイン表現がなぜそうなのか?」について、その理由を各関係者に説明していくための根拠としても役に立ちます。

この「トーン&マナー」というルールブックに基づいて、ブランディングに関わる全ての人々が適切に活動すれば、各ブランド要素は統一感のあるブランド表現に仕上がっていきます。
その分だけ、顧客にちぐはぐなイメージを与えることによる混乱を避けることができます。

なお、ブランド「らしさ」は顧客の頭の中にイメージされるものですから、ブランド側からの一方通行による表現では、いつまでたっても「らしさ」を創ることはできません。
したがって、定期的なアンケート調査やインタビュー調査などをすることで、顧客がそのブランドに対してどんなイメージを持っているのかについてのフィードバックをもらい、こちらが意図したブランド「らしさ」のイメージを持ってもらえるように、各ブランド要素を修正・改善していきましょう。

_3.ブランドロゴ創りの注意点とは?

ブランドを強くするためには、大きく分けて、①ブランドの独自性を抽出して言語化する、②ブランドの見た目を創る(ビジュアル化する)、という2つのことをする必要があります。
1(1)で前述しましたように、➁の要素には、ロゴ、店舗の外観や内装、商品パッケージ、包装用紙、ウェブサイト、販売員の制服などといった様々なビジュアル要素があります。

これらのブランドの見た目を表現する各要素の統一感を保つ必要があります。
そこで、<ブランドが目指す理想の姿をビジュアル化したデザイン要素>を全てひとまとめにした「ビジュアルアイデンティティー(VI)」を創ります。
これにより、各要素を全体的に見た時にバラバラな印象を与えるのではなく、一つのコンセプトに基づいた統一性のある世界観を創り出すことができるのです。

さて、➁の要素の中でも特に「ロゴ」は、そのブランドのシンボルであり、顔であるといえます。
ブランド「らしさ」を一目で表すものとして最も重要なものと言えるでしょう。
人間がそうであるように、やはり第一印象はブランドにとっても大切だからです。

それでは、このように重要な役割を果たすロゴをどのような点に注意して創れば良いのでしょうか。
せっかくロゴ創りをするのであれば、ターゲットの頭の中に強く印象づけられ、そして、永く愛されるものにすることで、他のブランドと差別化できるようにしたいものですね。

まずは前提として、ロゴの主なパターン(アイコンのみの場合、文字のみの場合、アイコンと文字の両方が使われる場合)や、基礎的なロゴの制作ノウハウ・流れを理解しておきましょう。
その上で、ブランド「らしさ」を具体的に表現するロゴになるように、ブランド戦略と照らし合わせて以下の4つのポイントに配慮しながら創ると良いでしょう。
そうすれば、個性的で印象に残るデザインになり、他のブランドと差別化を図ることができます。

①ブランドに込められた想いをビジュアル的に反映したデザインにしましょう。

例えば、ブランドのコンセプトや打ち出す特徴・提供価値が「人に優しくありたい」というブランドだったとします。
ところが、ロゴが荒々しい鬼をかたどったイメージのものだったとしたら、ブランドの想いを全く反映しておらず、顧客の側からすればかなりちぐはぐなイメージを抱いてしまうことになります。
ブランドに込められた想いと、それを反映したビジュアルとが整合性の取れるようにロゴをデザインしましょう。

②ロゴに文字を使用するのであれば、覚えられやすい文字を使うようにしましょう。

読みやすく、発音しやすい文字が適切です。
逆に、読みにくい文字や発音しにくい文字を使ってしまうと、顧客の側としては頭が混乱し、覚えるのがめんどくさくなって、記憶の中から消去しがちだからです。

③実際に使われるシーンを意識したデザインにしましょう。

パソコンやスマホの画面でロゴを見る時、店舗やパッケージに表示されたロゴを見る時、といったように、ロゴが表示される媒体によっては、例えば、細かすぎて見えにくいと感じる人もいるので注意しましょう。
高齢社会が進んでいる現代においては、特にご年配の方の視点からロゴが実際に使われるシーンを見直してみると良いでしょう。

④どこかで見たようなデザインにはしないようにしましょう。

やはり、他人のロゴデザインを真似したり、あるいは、あろうことか盗んだと思われるようなロゴデザインをしてしまいますと、全く信用してもらえなくなります。
特許法や不正競争防止法等の法律に違反するかどうか以前に、顧客や世間の人々からの信頼を失いかねないロゴデザインにすることは絶対にやめておきましょう。
仮に、他人のデザインを真似することで一時的に顧客を騙して成功できたとしても、そのようなブランドは決して永くは続かないでしょう。

以上見てきたように、ブランド「らしさ」を創る大切な要素はたくさんありますが、重要なのは全体として統一性ある世界観を作ることと、各ブランド要素に込められたメッセージの整合性を保つことです。
人間であっても、コロコロと主張が変わる人は周りの人から信用してもらえませんよね。
それはブランドも同じです。
統一性ある世界観を映すビジュアル要素と首尾一貫したメッセージを発信し続けるバーバル要素を慎重に創り上げていくことによって、次第に1人また1人と共感してくださる顧客が現れるのです。

ぜひ、ブランド要素やトーン&マナーに細心の注意を払って、永く愛され続けるブランド「らしさ」を創っていきましょう。

最後までお読みいただきましてありがとうございました。

次回の戦略ブランディング基礎講座(第29回)でも、引き続き、ブランディングの基礎的な知識・考え方をテーマに分かりやすくご説明していきたいと思います。

それではまた次回にお会いいたしましょう。

私たち&FORCEは、東京・麹町と沖縄・那覇に拠点を置く戦略ブランディングカンパニーです。
「モノ創りを価値あるものへ」を理念に、全国の企業様への戦略ブランディング支援、戦略PR立案・実行支援を中核に事業を展開しております。

私たち&FORCEが心がけているスタンスは、「お客様に一歩先を提示して伴走する戦略ブランディングサービス」をご提供することです。
クライアント様の確かなブランド構築という目標に向かって、共創・伴走させていただきながら事業が自走していく状態になるまで戦略ブランディングサポートを継続致します。 クライアント様に1人で走っていただくようなことは致しません。

ブランディングのお仕事というのは、「考え続ける」お仕事です。
それも、独りよがりの考えではなく、クライアント様の想いやこれまでに紡いできたストーリーをしっかり汲み取って、どうやったら喜んでいただけるかを共に考えていきます。

&FORCEの「&」には、代表・瀧口幸明の<誰かと一緒に何かを作る力は無限大>という想いが込められています。
そのため、クライアント様には様々な業界・業種の方がいらっしゃいますし、弊社のメンバーも年齢・性別やバックボーンを問わず様々です。
様々な人や文化が混ざり合うことから新たな価値が生まれてくると信じております。

私たち&FORCEは、戦略ブランディングや戦略PR関連のお仕事をさせていただいておりますが、特にスタートアップ企業の経営者様や事業承継後の後継ぎ経営者様の戦略ブランディングに関するお悩みに全力で寄り添い、お応えして参りたいと思っております。

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[ 参考文献一覧 ]
1.デービッド・アーカー「ブランド論」(ダイヤモンド社 2015年)
2.デービッド・アーカー「ストーリーで伝えるブランド—シグネーチャーストーリーが人々を惹きつける」(ダイヤモンド社 2019年)
3.田中洋「ブランド戦略・ケースブック2.0」(同文舘出版 2021年)
4.田中洋「ブランド戦略論」(有斐閣 2017年)
5.音部大輔「The Art of Marketing マーケティングの技法」(宣伝会議 2021年)
6.羽田康祐「ブランディングの教科書:ブランド戦略の理論と実践がこれ一冊でわかる」(NextPublishing Authors Press 2020年)
7.中川淳・西澤明洋「ブランドのはじめかた」(日経BP 2010年)
8.中川淳・西澤明洋「ブランドのそだてかた」(日経BP 2017年)
9.水野学「『売る』から、『売れる』へ。水野学のブランディングデザイン講義」(誠文堂新光社 2015年)
10.西澤明洋「ブランディングデザインの教科書」(パイ インターナショナル 2020年)
11.乙幡満男「デジタル時代に知名度ゼロから成功する!ブランディング見るだけノート」(宝島社 2021年)
12.乙幡満男「ブランディングが9割」(青春出版社 2020年)
13.齋藤三希子「パーパス・ブランディング〜『何をやるか?』ではなく、『なぜやるか?』から考える」(Kindle版 2022年)
14.デザインノート編集部「デザインノート Premium 最強のブランディングデザイン: 最新デザインの表現と思考のプロセスを追う」(誠文堂新光社 2021年)
15.バイロン=シャープ・前平謙二「ブランディングの化学 誰も知らないマーケティングの法則11」(朝日新聞出版 2018年)
16.佐藤圭一「選ばれ続ける必然 誰でもできる『ブランディング』のはじめ方」(講談社 2016年)
17.丹羽真理「パーパス・マネジメント」(クロスメディア・パブリッシング 2018年)
18.山口義宏「デジタル時代の基礎知識『ブランディング』 『顧客体験』で差がつく時代の新しいルール」(翔泳社 2018年)
19.バイロン=シャープ・ジェニー=ロマニウク他「ブランディングの科学 新市場開拓編 – エビデンスに基づいた成長の新法則–」(朝日新聞出版 2020年)
20. 楠木建「ストーリーとしての競争戦略」(東洋経済新報社 2010年)
21.ジョン・ムーア「スターバックスはなぜ値下げもテレビCMもしないのに強いブランドでいられるのか?」(ディスカバー・トゥエンティワン 2014年)
22.小山田育・渡邊デルーカ瞳「ニューヨークのアートディレクターがいま、日本のビジネスリーダーに伝えたいこと」(クロスメディア・パブリッシング 2019年)
23.中川淳「経営とデザインの幸せな関係」(日経BP 2016年)
24.西口一希「たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング」(翔泳社 2019)
25.フィリップ・コトラー「コトラーのB2Bブランドマネジメント」(白桃書房 2020年)
26.片山義丈「実務家ブランド論」(宣伝会議 2021年)
27.アル・ライズ「ブランディング22の法則」(東急エージェンシー 1999年)
28.クレイトン・M・クリステンセン「ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム」(ハーパーコリンズ・ジャパン 2017年)
29. 芹澤連「“未”顧客理解 なぜ、「買ってくれる人=顧客」しか見ないのか?」(日経BP 2022年)
30. 森岡毅/今西聖貴「確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力」(KADOKAWA 2016年)

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