&FORCE COLUMN

&FORCEの戦略ブランディング基礎講座(第29回)
「ブランドらしさを表現するビジュアルインパクトを創るには?」
【東京・沖縄の戦略ブランディング会社】

こんにちは。&FORCEの広報担当です。
このブログでは、戦略ブランディングについての基礎的な知識を学びたい方のためのお役立ち情報を発信して参ります。

具体的には、次のようなお悩みをお持ちの方にお役立ちできる内容となっています。

「売り上げを安定的に伸ばすためにブランディングが大切って聞いたけど、そもそもブランディングって何?」

「スタートアップ企業として、認知度や信頼感を獲得するためにブランディングに取り組んでいきたいけれど、何をどれから始めたらいいかが分からない・・・。」

「親から会社を引き継いだ後継ぎなんだけど、親の世代とは時代状況も違うし、新しい時代に合わせて会社をブランディングし直してみたいんだけど、どうしたらいいんだろう?」

知っておくと有益な戦略ブランディングの基礎知識をご説明していきますので、ご興味のある方はぜひご覧になってみてください。
どうぞよろしくお願いいたします。
(なお、本テーマの記事は連載形式になります。)

戦略ブランディング基礎講座第29回目のテーマは、
「ブランドらしさを表現するビジュアルインパクトを創るには?」です。

それでは行ってみましょう!

_1.ブランドカラーがもたらす役割・効果とは?

ブランドらしさを視覚的に表す要素として大切なのが「ブランドカラー」です。
色が与える印象を利用して、ブランドがターゲット顧客に伝えたいメッセージを視覚的に届けるための中核的な色のことです。

例えば、オレンジとグリーンと赤の3本の横線からイメージされるブランドと言えば何が思い浮かぶでしょうか?
おそらく多くの人がセブンイレブンを思い浮かべると思われます。

では、赤がメインで、そこにサブカラーとして白が入っているイメージカラーと言えば、どこのブランドを思い浮かべますか?
サンタクロース?笑
確かに、ものすごく広い意味ではサンタクロースもブランドかもしれませんね(なお、昔はサンタクロースは緑色の服を着ていたという話もありますが。)。
こちらもおそらく飲料メーカーのコカコーラや航空会社のJALを思い浮かべる方が多いでしょう。

次に、緑がメインの色で、そこにサブカラーとして白が入ったイメージカラーのブランドと言えば?
こちらはスターバックスやLINE、三井住友銀行などが思い浮かぶのではないでしょうか。

最後に、青いイメージカラーを持つブランドと言えば?
航空会社のANAやCPU及び半導体装置メーカーのインテルが思い浮かぶ人が多いかもしれません。

このように、ブランドカラーで特定のブランドが思い浮かぶ例は数多いことがご理解いただけると思います。
そのため、色が人に与える印象を効果的に利用すると、ブランドらしさをターゲット顧客やステークホルダーに伝えるのに非常に有効に機能します。
なぜなら、人は文字よりも先に視覚に飛び込んでくる色で判断しやすい性質を持っているからです。

それでは、ブランドらしさを効果的に伝えるためのブランドカラーはどのように決めればよいのでしょうか?

まずはキーカラーを決めましょう。
キーカラーが決まらなければ、この先のプロセスに進めません。
ブランドのイメージを表現するための重要な視覚的要素であり、色彩デザインの鍵となる中核的な色だからです。
したがって、キーカラーは自社のブランドが訴求したい中心的な価値観や世界観、提供価値のイメージを上手く伝えられるような、つまり、ブランドのコンセプトに合うような色を選ぶようにしましょう。
いわば、キーカラーは、ブランドシンボルの基本表示色といえます。

キーカラーとしてどんな色を選ぶか次第で、ターゲット顧客やステークホルダーに覚えられやすいかどうか、視覚的な印象に残る強いブランドになれるかどうかが決まると言っても過言ではありません。
そのため、ブランドのコンセプトにフィットするカラーを1つか2つ、キーカラーとして選ぶようにしましょう。

具体的には、色にはそれぞれ連想される言葉がありますので、それを参考にブランドが伝えたいメッセージにフィットした色を選ぶことで、色が人に与える印象を効果的に利用することができるでしょう。

例えば、「赤」は情熱や興奮、激しさ、熱さといったイメージを表す色です。
また、「緑」は爽やかさ、若さ、新鮮さ、平和などのイメージを表しています。
さらに、「青」は、涼しさ、静けさ、清潔感、開放感などを表す色として知られています。

色が人に与える印象を効果的に利用する有名な例としては、アメリカ合衆国の大統領選挙における候補者のネクタイの話があります。
選挙戦の中でもここ一番の勝負どころの演説では、候補者は赤い色が示す情熱や熱いイメージを利用するために赤い色のネクタイを着用することが多いです。
自分が次の大統領に相応しい「情熱的で」「エネルギッシュな」「熱い」人物であるとアピールするわけですね。
そのため、赤色のネクタイは「パワータイ」と呼ばれています。

大統領選挙と言えば、史上初のテレビ討論対決が行われた「ケネディvsニクソン」の戦いでも色が人に与える効果が大きく影響したと言われています。
当日、スタジオのセットの中で行われた候補者同士の討論では、背景の壁紙の色が白に近いアイボリーでした。
それに対して、ニクソンは白に近いグレーのスーツを着ており、なおかつ、肌の色も白かったため、背景色に同化してしまい、印象が薄くなってしまいました。

逆に、ケネディーは濃紺のスーツに身を包み、肌も精悍な印象に見えるような日焼けをしていたため(*後に持病の影響からのものだったと判明)、背景色とは対照的に目立って見えました。
この色による視覚効果の違いがテレビ視聴者の印象に大きく影響し、ケネディ勝利の原因の一つになったと言われています。

また、よく見られる例として、低価格を売りにするブランドは赤色や黄色を使うことが多いです。
逆に、高級志向のブランドは、金や銀、黒色を基調にしたブランドカラーで世界観を表していることが多いです。

色が人に与えるイメ―ジは本当に大切ですね。

_2.視覚的なブランド要素の最重要ポイントとは?

例えば、同じブランドでも、色使いが広告物ごとにバラバラだったらどうでしょう?
ちぐはぐな感じがして、顧客の頭の中は混乱し、そのようなブランドは記憶から消去されることになるでしょう。
また、消去までは行かなくても、ブランドイメージが顧客の頭の中に定着することはありません。
したがって、視覚的なブランド要素の最重要ポイントは、ちぐはぐさやバラバラなイメージではなく、<統一感>があることといえます。

ここで、視覚的なブランド要素の種類について見ておきましょう。
ロゴやカラー、配色、キービジュアル、ビジュアルイメージなどがあります。

「ロゴ」はブランドの顔になるもので、アイコンや文字、あるいはその両方からできているものです。

「カラー」はこれまでにご説明してきたブランドカラーのことです。

「配色」はブランドカラーに何色か追加されるサブ的な意味合いを持つ色になります。
広告物などを制作する場合には、ブランドカラー1色のみでは表現が難しいからです。
配色においても、ブランドが伝えたい「らしさ」がイメージとして正確に伝わり、顧客の頭の中に浮かぶブランドイメージの定着を図るため、配色ルールを定めます。
つまり、「ブランドのカラーチャート」を作る必要があります。

「キービジュアル」と「ビジュアルイメージ」は、2つともブランドの目指す姿(=理想像)を視覚的に具現化するものであり、中心的なイメージ画像になります。

この中で「キービジュアル」は、ブランドの象徴的かつ代表的なイメージを表すメインの画像であり、写真やキャラクター、グラフィックデザインなどの要素から成り立っているものです。
別の言い方をすれば、写真やキャラクター、グラフィックデザインなどを要素として、ブランドが伝えたい目指す姿(=理想像)を1メッセージ、1イメージでまとめたイメージ画像です。
ぱっと見ただけで覚えてもらえるような視認性の高さを創り、伝えたいメッセージの内容や意図を端的に伝える役割を持っています。

他方、「ビジュアルイメージ」は、様々なタッチポイント(=顧客接点)で使用するためのキービジュアルを元にした派生的なイメージ画像のことです。
「ビジュアルイメージ」は、その時に売りたい商品や伝えたいメッセージごとに、キービジュアルの世界観の範囲内で色々な表現の仕方をしているイメージ画像になります。

このように、ブランドの中核的なメッセージを視覚的に表現する要素は色々ありますが、これらの色やトーンなどの見せ方を合わせて、全体として<統一感>があるイメージ訴求をしなければなりません。
統一感のある世界観をビジュアル的に訴求し続けるからこそ、顧客やステークホルダーの頭の中にブランドのイメ―ジが定着化していくからです。
そこで、ブランドの目指す姿(=理想像)を正しく伝えるための視覚的ブランド要素の使い方を定めたルールブックとして「デザインシステム」を作ると良いでしょう。

_3.インパクトが強いだけに視覚的なブランド要素創りで気をつけるべきこととは?

これまで見てきたように、キービジュアルやビジュアルイメージなどの視覚的なブランド要素が人に与える効果は非常に強いものがあります。
文章による訴求よりも、良くも悪くも印象に残りやすいといえます。
ちょっとオーバーかもしれませんが、ビジュアルショックと言っても良いかもしれません。
それだけに、ブランドが伝えたいメッセージや世界観と、視覚的なブランド要素が表現するイメージとが不一致である場合には、ブランドのイメージダウンの度合いが大きいことに注意するべきでしょう。
つまり、視覚的なブランド要素創りを誤ってしまうと、その弊害がかなり大きいものになります。

したがって、視覚的なブランド要素を創る場合には、ブランドが伝えたいメッセージとの整合性を図り、なおかつ、統一感のある世界観になるように、慎重にイメージを創り上げていくべきです。
具体的には、「誰に」「何を」「どのように」伝えるのかを慎重に設計していきましょう。
そして、届けたい相手に届けるための相応しい媒体を選び、継続的に発信していくことが大切です。

最後までお読みいただきましてありがとうございました。

次回の戦略ブランディング基礎講座(第30回)では、「ブランド名(ブランドネーム)はどう決めればいいの?」をテーマにご説明していきたいと思います。

それではまた次回にお会いいたしましょう。

私たち&FORCEは、東京・麹町と沖縄・那覇に拠点を置く戦略ブランディングカンパニーです。
「モノ創りを価値あるものへ」を理念に、全国の企業様への戦略ブランディング支援、戦略PR立案・実行支援を中核に事業を展開しております。

私たち&FORCEが心がけているスタンスは、「お客様に一歩先を提示して伴走する戦略ブランディングサービス」をご提供することです。
クライアント様の確かなブランド構築という目標に向かって、共創・伴走させていただきながら事業が自走していく状態になるまで戦略ブランディングサポートを継続致します。 クライアント様に1人で走っていただくようなことは致しません。

ブランディングのお仕事というのは、「考え続ける」お仕事です。
それも、独りよがりの考えではなく、クライアント様の想いやこれまでに紡いできたストーリーをしっかり汲み取って、どうやったら喜んでいただけるかを共に考えていきます。

&FORCEの「&」には、代表・瀧口幸明の<誰かと一緒に何かを作る力は無限大>という想いが込められています。
そのため、クライアント様には様々な業界・業種の方がいらっしゃいますし、弊社のメンバーも年齢・性別やバックボーンを問わず様々です。
様々な人や文化が混ざり合うことから新たな価値が生まれてくると信じております。

私たち&FORCEは、戦略ブランディングや戦略PR関連のお仕事をさせていただいておりますが、特にスタートアップ企業の経営者様や事業承継後の後継ぎ経営者様の戦略ブランディングに関するお悩みに全力で寄り添い、お応えして参りたいと思っております。

&FORCEにご興味を持っていただけましたら、いつでもお気軽にお問い合わせいただければ幸いです。
クライアント様のお役に立てることを心より願っております。

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[ 参考文献一覧 ]
1.デービッド・アーカー「ブランド論」(ダイヤモンド社 2015年)
2.デービッド・アーカー「ストーリーで伝えるブランド—シグネーチャーストーリーが人々を惹きつける」(ダイヤモンド社 2019年)
3.田中洋「ブランド戦略・ケースブック2.0」(同文舘出版 2021年)
4.田中洋「ブランド戦略論」(有斐閣 2017年)
5.音部大輔「The Art of Marketing マーケティングの技法」(宣伝会議 2021年)
6.羽田康祐「ブランディングの教科書:ブランド戦略の理論と実践がこれ一冊でわかる」(NextPublishing Authors Press 2020年)
7.中川淳・西澤明洋「ブランドのはじめかた」(日経BP 2010年)
8.中川淳・西澤明洋「ブランドのそだてかた」(日経BP 2017年)
9.水野学「『売る』から、『売れる』へ。水野学のブランディングデザイン講義」(誠文堂新光社 2015年)
10.西澤明洋「ブランディングデザインの教科書」(パイ インターナショナル 2020年)
11.乙幡満男「デジタル時代に知名度ゼロから成功する!ブランディング見るだけノート」(宝島社 2021年)
12.乙幡満男「ブランディングが9割」(青春出版社 2020年)
13.齋藤三希子「パーパス・ブランディング〜『何をやるか?』ではなく、『なぜやるか?』から考える」(Kindle版 2022年)
14.デザインノート編集部「デザインノート Premium 最強のブランディングデザイン: 最新デザインの表現と思考のプロセスを追う」(誠文堂新光社 2021年)
15.バイロン=シャープ・前平謙二「ブランディングの化学 誰も知らないマーケティングの法則11」(朝日新聞出版 2018年)
16.佐藤圭一「選ばれ続ける必然 誰でもできる『ブランディング』のはじめ方」(講談社 2016年)
17.丹羽真理「パーパス・マネジメント」(クロスメディア・パブリッシング 2018年)
18.山口義宏「デジタル時代の基礎知識『ブランディング』 『顧客体験』で差がつく時代の新しいルール」(翔泳社 2018年)
19.バイロン=シャープ・ジェニー=ロマニウク他「ブランディングの科学 新市場開拓編 – エビデンスに基づいた成長の新法則–」(朝日新聞出版 2020年)
20. 楠木建「ストーリーとしての競争戦略」(東洋経済新報社 2010年)
21.ジョン・ムーア「スターバックスはなぜ値下げもテレビCMもしないのに強いブランドでいられるのか?」(ディスカバー・トゥエンティワン 2014年)
22.小山田育・渡邊デルーカ瞳「ニューヨークのアートディレクターがいま、日本のビジネスリーダーに伝えたいこと」(クロスメディア・パブリッシング 2019年)
23.中川淳「経営とデザインの幸せな関係」(日経BP 2016年)
24.西口一希「たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング」(翔泳社 2019)
25.フィリップ・コトラー「コトラーのB2Bブランドマネジメント」(白桃書房 2020年)
26.片山義丈「実務家ブランド論」(宣伝会議 2021年)
27.アル・ライズ「ブランディング22の法則」(東急エージェンシー 1999年)
28.クレイトン・M・クリステンセン「ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム」(ハーパーコリンズ・ジャパン 2017年)
29. 芹澤連「“未”顧客理解 なぜ、「買ってくれる人=顧客」しか見ないのか?」(日経BP 2022年)
30. 森岡毅/今西聖貴「確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力」(KADOKAWA 2016年)

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