&FORCE COLUMN

&FORCEの戦略ブランディング基礎講座(第2回)
「ブランディングに必要な共通のイメージとは?」
【東京・沖縄の戦略ブランディング会社】

こんにちは。&FORCEの広報担当です。
このブログでは、戦略ブランディングについての基礎的な知識を学びたい方のためのお役立ち情報を発信して参ります。

具体的には、次のようなお悩みをお持ちの方にお役立ちできる内容となっています。

「売り上げを安定的に伸ばすためにブランディングが大切って聞いたけど、そもそもブランディングって何?」

「スタートアップ企業として、認知度や信頼感を獲得するためにブランディングに取り組んでいきたいけれど、何をどれから始めたらいいかが分からない・・・。」

「親から会社を引き継いだ後継ぎなんだけど、親の世代とは時代状況も違うし、新しい時代に合わせて会社をブランディングし直してみたいんだけど、どうしたらいいんだろう?」

知っておくと有益な戦略ブランディングの基礎知識をご説明していきますので、ご興味のある方はぜひご覧になってみてください。
どうぞよろしくお願いいたします。
(なお、本テーマの記事は連載形式になります。)

戦略ブランディング基礎講座第2回目のテーマは、
「ブランディングに必要な共通のイメージとは?」です。

それでは行ってみましょう!

_1.ブランディングが目指すところとは?

前回の基礎講座(第1回)では、「ブランド/ブランディング」の言葉の意味や、なぜブランディングが必要なのかについての理由をご説明しました。

今回は、ブランディングという活動がどこを目指して行われるのかを中心にお話ししていきます。
目的や目標がハッキリしないままでは、ブランディングはうまくいかないからです。
目標地点を定めないまま、その場のノリで山登りを始めてしまうようなものです。
それでは、ブランディングが目指すべき目標地点とは一体どこなのでしょうか?

結論から申しますと、企業として「どうありたいか」という視点と、お客様から「どう思われたいか」という視点の2つから、企業とお客様の両方にとって共通のイメージを醸成し、合致した状態にしていくことです。
つまり、企業の側とお客様の側があるべき理想のイメージを共通して抱くような状態にしていく活動全般を「ブランディング」といいます。

マクドナルドを例にとりましょう。
「おいしさと笑顔を、地域の皆様に」という想いがお客様に明確なイメージとして伝わることをマクドナルド(企業)の側は理想の状態としてイメージしています。
それに対して、お客様の側からは「手ごろな価格でおいしい!」「店員さんの笑顔が素敵!」「長くいても心地が良い空間!」などのイメージをマクドナルドに対して抱いている状態ということです。
この企業とお客様の双方が抱く理想のイメージが合致している状態が継続していくことで、お客様からの企業(ブランド)に対する強い信頼感が積み重なっていきます。

逆に、「私たちはお客様から◯◯な存在として見られたい」という企業様やそこで働く社員の皆様の想いと、そのお客様やその他の消費者の皆様が抱く企業へのイメージがちぐはぐで合致していなかったらどうなるでしょうか?

イメージの不一致を生み出している企業のブランドに対して、お客様の多くは混乱しますので、そのブランドに対する信頼感は生まれてきません。
「ブランドとは信頼の貯蔵庫」(早稲田大学教授 恩蔵直人氏)とも言われています。
ブランドが打ち出すイメージに対してお客様が安心、安全、憧れ、納得、共感を抱かなければ、そのブランドへの信頼感は芽生えないのです。
それどころか、イメージの不一致を生み出している企業のブランドに対しては、不快感を感じることも多いことから、避けるようになるでしょう。

したがって、企業の側とお客様の側の双方が、企業(ブランド)が掲げるあるべき姿( 理想の姿)に対する共通のイメージを抱くようにしていかねばなりません。

そこで、企業とそのお客様の双方の視点に共通のイメージを醸成し、合致させていくために「ブランディング」をしていくことになります。

それでは、共通のイメージ作りのためのブランディングとは具体的にどのような活動によって形作られていくのでしょうか?
以下、インナーブランディング(=社内のブランディング)とアウターブランディング(=社外へのブランディング)の2つの視点に分けて見ていきましょう。

_2.インナーブランディングとは?

インナーブランディングとは、ブランドらしいメッセージ・価値観(=ブランドらしさ)を社内に浸透させるための社内向けのブランディング活動のことをいいます。
この活動を通して、経営トップをはじめ全ての社員がブランドらしい接客や行動を取れるようになることを目指します。

せっかく、ブランドらしいメッセージや価値観を経営理念やクレド(=全社員が心がける信条や行動指針)として作成しても、お客様に対して社員がブランドの価値観や理念と異なる対応をしたのでは、ちぐはぐなイメージを与えてしまうことになります。
それは直ちにブランドへの信頼感の低下につながってしまいます。

そのため、企業がブランドイメージとして打ち出したい理念や価値観と社員のお客様への接客や対応とが一致していくように、インナーブランディングを行っていく必要があります。
経営理念やクレドを額縁に入ったままのホコリをかぶった状態にしておくのは、ブランド構築のためには意味がないのです。

では、インナーブランディングを行っていくためには、実際にはどのような活動をしていくのでしょうか。
一言で言えば、研修や1on1ミーティングなどによる教育・指導です。

そもそも、インナーブランディングの目的は、ブランドらしいメッセージや価値観を社内に浸透させて、全社員にブランドらしい接客や行動をさせることです。

そのために、日常的な会議の場はもちろんのこと、定期的な研修や1on1ミーティングによる個別指導など、あらゆるコミュニケーションの場を通じてブランドの理念や価値観が浸透していくように教育・指導していきます。

マクドナルドの例で言えば、まず、our purpose(私たちの存在意義)として「おいしさと笑顔、地域の皆様に」を掲げています。
次に、our mission(私たちの使命)として「おいしさとFeel - goodなモーメントを、いつでもどこでもすべての人に。」というように具体化します。 それをさらに、our values(私たちの価値観)として、serve「お客様とPeopleを第一に考えます」、inclusion「オープンドアの精神で多様性を生かします」、integrity「常に正しいことをします」、community「地域に貢献します」、family「力を合わせて成長します」といった具体的な行動規範にしていきます。
ここまではマクドナルドが大切にしている理念や価値観をメッセージやスローガンにしたものです。

しかし、これだけでは社内に浸透させることができません。
販売促進活動を通じた商品の魅力のアピール力向上、また、流通との良好な関係や社員のやる気向上などの効果をもたらすために、ここからさらに日々のOJTや定例会議の場、社内研修、1on1ミーティングなどを実施して全社員に浸透させていくのです。

正直な話、インナーブランディングは全社員を巻き込んだ活動になりますので、浸透させるためには時間と根気と工夫が必要になります。
しかし、強いブランド力を獲得した企業は皆、インナーブランディングに長い時間をかけて取り組み、成功させています。

_3.アウターブランディングとは?

アウターブランディングとは、ブランドらしいメッセージ・価値観(=ブランドらしさ)を社外に浸透させるための社外向けのブランディング活動のことをいいます。
ターゲット顧客だけではなく、潜在顧客、そして、ターゲット顧客に影響を及ぼす可能性のある一般消費者の方をも対象にした活動です。
この活動を通して、ブランドらしい見た目やイメージに対して社会的に良い評判や評価が得られるようにすることを目指します。
ブランディングと言えば、こちらの方が一般的なイメージ通りだと思います。
具体的には、前回の記事でご紹介しましたように、ブランドネーム、ロゴとシンボル、スローガン、パッケージング、キャラクターといったブランドの「〇〇らしさ」を形作る5つの要素を決定し、各種のメディア媒体を駆使しながら、プロモーション活動によって広めていきます。

なお、良好なブランドイメージを作るために欠かせないのが、マーケティング戦略との整合性です。
かつてはブランディングの重要性は一部の企業にしか理解されていませんでしたが、類似製品で溢れる成熟市場になった国々では、マーケティングの中核概念としてブランディングが認識されるようになっています。

そのため、マーケティングの具体的な施策であるマーケティング4P(製品、価格、流通、プロモーション)は、中核概念であるブランディングの理念や価値観と整合性がとれるものでなければなりません。

どれだけ立派なブランディング戦略を立案しても、それが実行段階であるマーケティング戦略と整合性が取れない、ちぐはぐなものになってしまえば、お客様や関係取引先は混乱し、ひいてはブランドに対する違和感や不信感を抱くようになるからです。

_4.まとめ

以上見てきましたように、企業の「どうありたいか」という視点とお客様から「どう思われたいか」という視点の2つにおいて共通のイメージを醸成し合致させることが、ブランディングに必要な共通のイメージです。
その共通イメージを着実に作り上げていくために、インナーブランディングとアウターブランディングを同時並行で進めていきます。
これらの2つのブランディング活動を通して、お客様にブランドらしさが伝わるようにしていくのです。
ブランディングとは、ブランド+ing、つまり、ブランドを未来に向けて進化させ続ける行動といえるでしょう。

最後までお読みいただきましてありがとうございました。

次回の戦略ブランディング基礎講座(第3回)では、「ブランディングのメリットとは?」をテーマにご説明していきたいと思います。

それではまた次回にお会いいたしましょう。

私たち&FORCEは、東京・麹町と沖縄・那覇に拠点を置く戦略ブランディングカンパニーです。
「モノ創りを価値あるものへ」を理念に、全国の企業様への戦略ブランディング支援、戦略PR立案・実行支援を中核に事業を展開しております。

私たち&FORCEが心がけているスタンスは、「お客様に一歩先を提示して伴走する戦略ブランディングサービス」をご提供することです。
クライアント様の確かなブランド構築という目標に向かって、共創・伴走させていただきながら事業が自走していく状態になるまで戦略ブランディングサポートを継続致します。 クライアント様に1人で走っていただくようなことは致しません。

ブランディングのお仕事というのは、「考え続ける」お仕事です。
それも、独りよがりの考えではなく、クライアント様の想いやこれまでに紡いできたストーリーをしっかり汲み取って、どうやったら喜んでいただけるかを共に考えていきます。

&FORCEの「&」には、代表・瀧口幸明の<誰かと一緒に何かを作る力は無限大>という想いが込められています。
そのため、クライアント様には様々な業界・業種の方がいらっしゃいますし、弊社のメンバーも年齢・性別やバックボーンを問わず様々です。
様々な人や文化が混ざり合うことから新たな価値が生まれてくると信じております。

私たち&FORCEは、戦略ブランディングや戦略PR関連のお仕事をさせていただいておりますが、特にスタートアップ企業の経営者様や事業承継後の後継ぎ経営者様の戦略ブランディングに関するお悩みに全力で寄り添い、お応えして参りたいと思っております。

&FORCEにご興味を持っていただけましたら、いつでもお気軽にお問い合わせいただければ幸いです。
クライアント様のお役に立てることを心より願っております。

ブランディングスタートパック
開始
3ヶ月でブランドの基礎を創ります

前の記事

次の記事

[ 参考文献一覧 ]
1.デービッド・アーカー「ブランド論」(ダイヤモンド社 2015年)
2.デービッド・アーカー「ストーリーで伝えるブランド—シグネーチャーストーリーが人々を惹きつける」(ダイヤモンド社 2019年)
3.田中洋「ブランド戦略・ケースブック2.0」(同文舘出版 2021年)
4.田中洋「ブランド戦略論」(有斐閣 2017年)
5.音部大輔「The Art of Marketing マーケティングの技法」(宣伝会議 2021年)
6.羽田康祐「ブランディングの教科書:ブランド戦略の理論と実践がこれ一冊でわかる」(NextPublishing Authors Press 2020年)
7.中川淳・西澤明洋「ブランドのはじめかた」(日経BP 2010年)
8.中川淳・西澤明洋「ブランドのそだてかた」(日経BP 2017年)
9.水野学「『売る』から、『売れる』へ。水野学のブランディングデザイン講義」(誠文堂新光社 2015年)
10.西澤明洋「ブランディングデザインの教科書」(パイ インターナショナル 2020年)
11.乙幡満男「デジタル時代に知名度ゼロから成功する!ブランディング見るだけノート」(宝島社 2021年)
12.乙幡満男「ブランディングが9割」(青春出版社 2020年)
13.齋藤三希子「パーパス・ブランディング〜『何をやるか?』ではなく、『なぜやるか?』から考える」(Kindle版 2022年)
14.デザインノート編集部「デザインノート Premium 最強のブランディングデザイン: 最新デザインの表現と思考のプロセスを追う」(誠文堂新光社 2021年)
15.バイロン=シャープ・前平謙二「ブランディングの化学 誰も知らないマーケティングの法則11」(朝日新聞出版 2018年)
16.佐藤圭一「選ばれ続ける必然 誰でもできる『ブランディング』のはじめ方」(講談社 2016年)
17.丹羽真理「パーパス・マネジメント」(クロスメディア・パブリッシング 2018年)
18.山口義宏「デジタル時代の基礎知識『ブランディング』 『顧客体験』で差がつく時代の新しいルール」(翔泳社 2018年)
19.バイロン=シャープ・ジェニー=ロマニウク他「ブランディングの科学 新市場開拓編 – エビデンスに基づいた成長の新法則–」(朝日新聞出版 2020年)
20. 楠木建「ストーリーとしての競争戦略」(東洋経済新報社 2010年)
21.ジョン・ムーア「スターバックスはなぜ値下げもテレビCMもしないのに強いブランドでいられるのか?」(ディスカバー・トゥエンティワン 2014年)
22.小山田育・渡邊デルーカ瞳「ニューヨークのアートディレクターがいま、日本のビジネスリーダーに伝えたいこと」(クロスメディア・パブリッシング 2019年)
23.中川淳「経営とデザインの幸せな関係」(日経BP 2016年)
24.西口一希「たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング」(翔泳社 2019)
25.フィリップ・コトラー「コトラーのB2Bブランドマネジメント」(白桃書房 2020年)
26.片山義丈「実務家ブランド論」(宣伝会議 2021年)
27.アル・ライズ「ブランディング22の法則」(東急エージェンシー 1999年)
28.クレイトン・M・クリステンセン「ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム」(ハーパーコリンズ・ジャパン 2017年)
29. 芹澤連「“未”顧客理解 なぜ、「買ってくれる人=顧客」しか見ないのか?」(日経BP 2022年)
30. 森岡毅/今西聖貴「確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力」(KADOKAWA 2016年)

BACK