&FORCE COLUMN

&FORCEの戦略ブランディング基礎講座(第3回)
「ブランディングをするメリットとは?」
【東京・沖縄の戦略ブランディング会社】

こんにちは。&FORCEの広報担当です。
このブログでは、戦略ブランディングについての基礎的な知識を学びたい方のためのお役立ち情報を発信して参ります。

具体的には、次のようなお悩みをお持ちの方にお役立ちできる内容となっています。

「売り上げを安定的に伸ばすためにブランディングが大切って聞いたけど、そもそもブランディングって何?」

「スタートアップ企業として、認知度や信頼感を獲得するためにブランディングに取り組んでいきたいけれど、何をどれから始めたらいいかが分からない・・・。」

「親から会社を引き継いだ後継ぎなんだけど、親の世代とは時代状況も違うし、新しい時代に合わせて会社をブランディングし直してみたいんだけど、どうしたらいいんだろう?」

知っておくと有益な戦略ブランディングの基礎知識をご説明していきますので、ご興味のある方はぜひご覧になってみてください。
どうぞよろしくお願いいたします。
(なお、本テーマの記事は連載形式になります。)

戦略ブランディング基礎講座第3回目のテーマは、
「ブランディングをするメリットとは?」です。

それでは行ってみましょう!

_1.ブランドが果たす役割とは?

現代の日本をはじめとする先進国の市場は、類似商品で溢れる成熟市場となっています。
その市場の中でお客様から自社の商品を選んで購入していただくためには、お客様に選んでもらうだけの理由作りが欠かせません。
その理由作りのために今や欠かせないのがブランディングです。

ここで「ブランド」とは、経営理念のもとに今まで積み重ねてきた企業の歴史・活動など、他社とは違う独自の価値をもったもののことです。
そして、「ブランディング」とは、ブランド+ing、ブランドを未来に向けて進化させ続ける行動を指します。
では、ブランディングによって形作られる「ブランド」とは、そもそもどのような役割を果たしているのでしょうか?

結論から言いますと、「ブランド」は顧客にとっての商品選択の助けになるという役割を持っています。
ここで、店の商品棚にすべてノーブランドの野菜が並んでいる場面を考えてみましょう。
この状態ですと、お客様はどの野菜が自分のニーズに合った商品なのかを判断するのは難しいですよね。
せめて、どこの産地のどのメーカーが作っている野菜なのかが分かるようなブランドネーム(ブランド名)ぐらいは欲しいところです。
つまり、ブランドネームがあるだけでも、お客様はその商品を買うかどうかの選択をしやすくなるのです。

次に、ブランドがある商品(A社)とノーブランドの商品(B社)が同じ商品棚に並んでいる場面を考えてみましょう。
B社のノーブランド商品をお客様に選んで購入してもらうにはどんなプロセスが必要でしょうか。
おそらく商品棚の付近に販売員を立たせて、お客様一人ひとりに商品の機能や品質、価格といった特徴を説明して、理解・納得を得なければなりません。
販売員の説明を受けられない場合には、お客様としてはその商品のことがよく分からないため、なんだか心配になってしまうでしょう。
そうなると、選びにくい商品というイメージを持たれてしまい、購入されなくなります。

他方、A社のブランドがある商品はどうでしょうか。
対象となる顧客を性別、年齢、ライフスタイルなどで細かく区分けされているブランドであれば、お客様はそのブランドネームを見ただけで、一瞬で自分にとって必要な商品かどうかを判断することができます。
つまり、ブランドがある商品は買い物の際に必要な情報交換の手間を省けるため、選びやすいイメージを持ってもらうことができます。

売り手であるA社にとっても、ブランドがある商品を提供することで、成熟市場の中であっても「〇〇らしさ」という商品の特徴をお客様にアピールすることができます。
したがって、ブランドは企業とそのお客様の間で行われる情報のやりとりを省略して非常に簡単にする役割を担っているといえます。

一言で言えば、ブランドの役割は、顧客の商品選択の助けになる識別機能にあるのです。

_2.ブランディングがもたらすメリットとは?

それでは、ブランディングのメリットとはどういう点にあるのでしょうか?
ブランディングの目的は、類似商品との差別化を図ることです。
したがって、ブランディングに成功しますと、独自性ある価値を持つ差別化された商品として市場に受け入れられますので、様々なメリットを得られます。
つまり、企業を取り巻くあらゆるものを発展・成長させるという意味での豊かさの循環が生まれてくるのです。

では、そのメリットとは具体的にどういうものなのかを、企業を取り巻くステークホルダー(取引先や業務上関連する関係者)ごとに見ていきましょう。

①顧客に対するメリット
顧客にとっては、そのブランドが気になる存在になり、再購入につながりやすくなります。
詳しくは後ほど改めてご説明します。

②取引先に対するメリット
取引のパートナーとしての信頼感や期待感が生まれるため、従来の取引の維持や発展はもちろんのこと、新規事業開発・拡張もスムーズに協力してもらいやすい関係が生まれてきます。
金融機関からの新規融資を受けやすくなる可能性も大きいです。

③株主に対するメリット
長期的かつ安定的な企業成長を見込むことができるため、会社のオーナーである株主の皆さんに信頼感と安心感を与えられるようになります。
そのため、ブランディングの成功により、株主の皆さんからの新たな資本調達が容易になる可能性も生まれてきます。

④従業員に対するメリット
ブランディングの成功により自社ブランドへの認知度・信頼感が高まるにつれて、従業員の間にもブランド企業で働くことができることへの誇りが芽生えてきます。
そうしますと、従業員のモチベーションが高まり、勤務態度などのモラルも自然に向上していきます。
従業員の間でプラスの循環が回りだすことにより、ブランド価値をさらに高めるために共に考えるようになります。
そして、そこから仕事への誇りと気づきを得られ、結果として個々の従業員と企業両方の成長を促していくことになります。

また、労働市場においても、ブランド力がある人気企業として採用活動が有利に展開していきます。
その結果、優秀な人材が集まりやすくなり、能力の高いマンパワーによってますます企業が発展していくことになります。

⑤競合他社との関係でのメリット
ブランディングによって独自の価値を持つ差別化された商品を提供できるようになるため、商品への付加価値や信頼感が生まれ、競争力が高まります。
その結果、値下げなどの低価格競争に巻き込まれることもなく、高利益体質に転換することができます。

以上のように、ブランディングが成功しますと、様々な方面にメリットが生まれ、そしてその各メリットが相乗効果を生むことで豊かさの循環が始まるのです。

_3.顧客との関係における身近な2つのメリットとは?

最後に、顧客との関係において、ブランディングはどのようなメリットがあるのでしょうか? それには2つの身近なメリットがありますので、以下にそれぞれを分けてご説明します。

①既存顧客のファン化
ブランディングの成功により、これまで支持してきてくださっているお客様の「ファン化」が進みます。
例えば、Apple社のスマートフォンやパソコンを思い浮かべてみてください。
新製品が出るたびに、店舗の周りには発売数日前から長蛇の列が生まれる現象がたびたびニュースなどで取り上げられているのをご覧になった方も多いでしょう。
Apple製品を長らく愛用し続けている顧客は「アップルユーザー」としての誇りを持っている人が多いようですね。
ブランドの世界観に魅了された顧客は、そのブランドの固定ファンとなり、そのブランドの製品を長い間リピートし続けることになるのです。

また、ファン化した既存顧客が自発的に周りに宣伝してくれるようになり、新たな顧客を連れてきてくれることにもなります。
そのような流れを作り出すためには、魅力ある世界観をイメージさせるようなブランディングを継続的に行っていく必要があります。

②新規顧客の増加
ブランディングの成功により、その企業のブランドを広く知ってもらうことができるようになります。
そのため、新たなお客様からの反響が増え、そして、その新たなお客様がまた自社ブランドのファンになっていくという好ましい流れができていきます。
ブランドの世界観がブランディングによって広がれば広がるほど、新たなお客様と出会う機会も増え、そして、長くアピールするチャンスを持つことができるようになります。

テレビCMなどで流れるApple社の広告を思い浮かべてみてください。
ひと口だけかじったリンゴという印象的なロゴマークや、広告のトーン&マナーが統一されているため、繰り返し目にする機会が増えれば増えるほど、潜在顧客の人たちはApple社を強く認識できるようになっていきます。
繰り返し見ているうちに、街角の店舗や看板、そしてチラシなどでApple社のロゴマークを見れば、ひと目見てApple社の広告だと分かるようになっていくのです。

つまり、ブランディングの成功により、商品のバリエーションが増えても、商品を売る市場の言語が変わっても(日本市場、アメリカ市場、ヨーロッパ市場など)、一貫して誰の頭にもApple社のロゴが浮かぶようになります。
そして、興味や関心を持ち、周りの友達やネットでの評判などを調べて、欲しいという気持ちが高まると、Apple社の新規顧客として製品を購入するようになるのです。

まとめますと、ブランディングがもたらす身近な2つのメリットとして、既存顧客のファン化と新規顧客のファン作りに貢献することができます。
「企業の側とお客様の側であるべき状態(理想の姿)の共通のイメージを持てるようにしていく」=「ブランディング」することが、ひいては企業の永続的な繁栄につながっていくのです。

最後までお読みいただきましてありがとうございました。

次回の戦略ブランディング基礎講座(第4回)では、「ブランディングと価格プレミアム・企業価値の関係とは?(前編)」をテーマにご説明していきたいと思います。

それではまた次回にお会いいたしましょう。

私たち&FORCEは、東京・麹町と沖縄・那覇に拠点を置く戦略ブランディングカンパニーです。
「モノ創りを価値あるものへ」を理念に、全国の企業様への戦略ブランディング支援、戦略PR立案・実行支援を中核に事業を展開しております。

私たち&FORCEが心がけているスタンスは、「お客様に一歩先を提示して伴走する戦略ブランディングサービス」をご提供することです。
クライアント様の確かなブランド構築という目標に向かって、共創・伴走させていただきながら事業が自走していく状態になるまで戦略ブランディングサポートを継続致します。 クライアント様に1人で走っていただくようなことは致しません。

ブランディングのお仕事というのは、「考え続ける」お仕事です。
それも、独りよがりの考えではなく、クライアント様の想いやこれまでに紡いできたストーリーをしっかり汲み取って、どうやったら喜んでいただけるかを共に考えていきます。

&FORCEの「&」には、代表・瀧口幸明の<誰かと一緒に何かを作る力は無限大>という想いが込められています。
そのため、クライアント様には様々な業界・業種の方がいらっしゃいますし、弊社のメンバーも年齢・性別やバックボーンを問わず様々です。
様々な人や文化が混ざり合うことから新たな価値が生まれてくると信じております。

私たち&FORCEは、戦略ブランディングや戦略PR関連のお仕事をさせていただいておりますが、特にスタートアップ企業の経営者様や事業承継後の後継ぎ経営者様の戦略ブランディングに関するお悩みに全力で寄り添い、お応えして参りたいと思っております。

&FORCEにご興味を持っていただけましたら、いつでもお気軽にお問い合わせいただければ幸いです。
クライアント様のお役に立てることを心より願っております。

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[ 参考文献一覧 ]
1.デービッド・アーカー「ブランド論」(ダイヤモンド社 2015年)
2.デービッド・アーカー「ストーリーで伝えるブランド—シグネーチャーストーリーが人々を惹きつける」(ダイヤモンド社 2019年)
3.田中洋「ブランド戦略・ケースブック2.0」(同文舘出版 2021年)
4.田中洋「ブランド戦略論」(有斐閣 2017年)
5.音部大輔「The Art of Marketing マーケティングの技法」(宣伝会議 2021年)
6.羽田康祐「ブランディングの教科書:ブランド戦略の理論と実践がこれ一冊でわかる」(NextPublishing Authors Press 2020年)
7.中川淳・西澤明洋「ブランドのはじめかた」(日経BP 2010年)
8.中川淳・西澤明洋「ブランドのそだてかた」(日経BP 2017年)
9.水野学「『売る』から、『売れる』へ。水野学のブランディングデザイン講義」(誠文堂新光社 2015年)
10.西澤明洋「ブランディングデザインの教科書」(パイ インターナショナル 2020年)
11.乙幡満男「デジタル時代に知名度ゼロから成功する!ブランディング見るだけノート」(宝島社 2021年)
12.乙幡満男「ブランディングが9割」(青春出版社 2020年)
13.齋藤三希子「パーパス・ブランディング〜『何をやるか?』ではなく、『なぜやるか?』から考える」(Kindle版 2022年)
14.デザインノート編集部「デザインノート Premium 最強のブランディングデザイン: 最新デザインの表現と思考のプロセスを追う」(誠文堂新光社 2021年)
15.バイロン=シャープ・前平謙二「ブランディングの化学 誰も知らないマーケティングの法則11」(朝日新聞出版 2018年)
16.佐藤圭一「選ばれ続ける必然 誰でもできる『ブランディング』のはじめ方」(講談社 2016年)
17.丹羽真理「パーパス・マネジメント」(クロスメディア・パブリッシング 2018年)
18.山口義宏「デジタル時代の基礎知識『ブランディング』 『顧客体験』で差がつく時代の新しいルール」(翔泳社 2018年)
19.バイロン=シャープ・ジェニー=ロマニウク他「ブランディングの科学 新市場開拓編 – エビデンスに基づいた成長の新法則–」(朝日新聞出版 2020年)
20. 楠木建「ストーリーとしての競争戦略」(東洋経済新報社 2010年)
21.ジョン・ムーア「スターバックスはなぜ値下げもテレビCMもしないのに強いブランドでいられるのか?」(ディスカバー・トゥエンティワン 2014年)
22.小山田育・渡邊デルーカ瞳「ニューヨークのアートディレクターがいま、日本のビジネスリーダーに伝えたいこと」(クロスメディア・パブリッシング 2019年)
23.中川淳「経営とデザインの幸せな関係」(日経BP 2016年)
24.西口一希「たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング」(翔泳社 2019)
25.フィリップ・コトラー「コトラーのB2Bブランドマネジメント」(白桃書房 2020年)
26.片山義丈「実務家ブランド論」(宣伝会議 2021年)
27.アル・ライズ「ブランディング22の法則」(東急エージェンシー 1999年)
28.クレイトン・M・クリステンセン「ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム」(ハーパーコリンズ・ジャパン 2017年)
29. 芹澤連「“未”顧客理解 なぜ、「買ってくれる人=顧客」しか見ないのか?」(日経BP 2022年)
30. 森岡毅/今西聖貴「確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力」(KADOKAWA 2016年)

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