&FORCE COLUMN

&FORCEの戦略ブランディング基礎講座(第7回)
「強いブランド価値を創るためのブランディング活動の全体像とは?」
【東京・沖縄の戦略ブランディング会社】

こんにちは。&FORCEの広報担当です。
このブログでは、戦略ブランディングについての基礎的な知識を学びたい方のためのお役立ち情報を発信して参ります。

具体的には、次のようなお悩みをお持ちの方にお役立ちできる内容となっています。

「売り上げを安定的に伸ばすためにブランディングが大切って聞いたけど、そもそもブランディングって何?」

「スタートアップ企業として、認知度や信頼感を獲得するためにブランディングに取り組んでいきたいけれど、何をどれから始めたらいいかが分からない・・・。」

「親から会社を引き継いだ後継ぎなんだけど、親の世代とは時代状況も違うし、新しい時代に合わせて会社をブランディングし直してみたいんだけど、どうしたらいいんだろう?」

知っておくと有益な戦略ブランディングの基礎知識をご説明していきますので、ご興味のある方はぜひご覧になってみてください。
どうぞよろしくお願いいたします。
(なお、本テーマの記事は連載形式になります。)

戦略ブランディング基礎講座第7回目のテーマは、
「強いブランド価値を創るためのブランディング活動の全体像とは?」です。

それでは行ってみましょう!

_1.「ブランディング」の意味を全社で共有する

これからブランディング活動に取り組んでいくにあたって、経営陣及び全社員の間で共通認識としておかなければならないことがあります。

それは「ブランディング」という言葉の意味です。

せっかくやる気を持って取り組み始めたブランディング活動がプロジェクトの途中で挫折してしまうことがあります。
その大きな原因の1つは、各関係者が「ブランディング」という言葉の意味をそれぞれのイメージや解釈のもとに話しているからです。

ブランディング構築のための会議を何回開いてもなかなか結論が出ず、方向性が定まらないのは、言葉の定義自体が曖昧であるままに話し合っていることが多いからです。
そのため、意味の食い違いによる混乱を防ぐため、まずは「ブランディング」の意味を定義し、全社で共有することからブランディング活動を始めましょう。

それでは、ここで一般的な意味を確認しておきましょう。
「ブランディング」という言葉は、一般的には2つの意味で使われていることが多いですね。

1つ目は、多くの企業が認識しているブランディングの概念としての狭い意味です。
これは、マーケティング・ミックス4Pのうちの1つであるPromotion(広告・宣伝及び販売促進活動)を意味し、ロゴやパッケージ、マスメディアなどを通じての広報・PRといった手段でブランドのイメージをターゲット顧客層に伝える活動のことです。

この場合のブランディングの意味は、マーケティング・ミックス4Pのうちの1つでしかない戦術レベルの話として捉えられています。
前回(第6回)の記事でご説明したように、市場競争がより厳しくなった現代では、ブランディングはもはやマーケティングの中核概念にまでなりました。
そのことからすれば、1つ目の意味のブランディングはかなり狭い意味でしか捉えられていないように思えますね。

他方、2つ目の「ブランディング」の意味は、広い意味になります。
これは、ブランドが目指すべき理想の姿に近づいていくための戦略的なブランディング活動全般を指します。
調査・分析から始まりブランド戦略を策定して実行する。
その後に効果検証してPDCAサイクル(=Plan(計画)→Do(実行)→Check(検証)→Action(改善・改良)の循環)を回していく、といった戦略的な活動全般を含みますので、マーケティング・ミックス4P全体を統括する重要な意味を持つものです。

私たち&FORCEは、この広い意味の戦略的なブランディング活動全般のことを「戦略ブランディング」と呼んでいます。
そもそも、経営理念のもとに今まで積み重ねてきた企業の歴史・活動など、他社とは違う独自の価値を持ったものが「ブランド」であると考えております。
そして、「ブランディング」とは、「ブランド+ing」であり、ブランドを未来に向けて進化させ続ける行動であると定義しています。

長期間継続するようなブランド価値を構築するには、戦略ブランディングに全社で取り組んでいく必要があります。
したがって、これからブランディング活動に真剣に取り組んでいこうと考えていらっしゃる企業様は、「ブランディング」の意味を広い意味の戦略ブランディングとして捉えていただくことをお勧めいたします。

_2.ブランディング活動の全体的なプロセスとは?

それでは、ブランディング活動の全体的なプロセスとは具体的にどのようなものなのでしょうか?

まずは、大きく分けて三つの段階でブランディング活動を進めていきます。
第一段階の<調査・分析>、第二段階の<ブランド戦略策定>、第三段階の<ブランド戦略実行>という流れです。

それではそれぞれの段階ごとに詳しく見ていきましょう。

_2-1.調査・分析

第一段階の<調査・分析>では、市場の中での自社の立ち位置や、顧客から見た自社のポジションを確認するために、<自社分析>、<顧客分析>、<競合分析>の3つを行います。

「彼を知り己を知れば百戦危うからず」と孫子の兵法にも書かれているように、戦略を立てるためにも、まずは現状把握から始めることが大切だからです。
現在地と目標地点が分からなければ、その間をどういうルートで進めば良いかが分からないのと同じです。

まず<自社分析>では、自社の強みや弱みを把握することを目的に、経営資源である人、モノ、カネ、情報の各点を分析します。
そして、具体的な施策であるマーケティング・ミックス4Pの4つのPのそれぞれについても自社の強みや弱みを分析していきます。

次の<顧客分析>では、自社がターゲット層としている顧客のニーズを把握します。
特に、顧客の真の本音であるインサイトを深く理解することが大切です。
インサイトをきちんと把握しなければ、ターゲット層の顧客に全く支持されない商品を提供することになってしまうからです。

さらに、ターゲット市場の中には自社だけが活動しているわけではありませんから、顧客獲得のための競争に勝つためには<競合分析>をしなければなりません。
<競合分析>でのポイントは、他社との差別化を図れるのはどこかを見つけ出すことです。
独自性ある価値を持つ製品・サービスを提供することができなければ、そもそも顧客の購買対象に選ばれないからです。
それ以前に、顧客の頭の中で他社と明確に差別化されたイメージが形作られず、自社ブランドは顧客の記憶に残らないでしょう。

_2-2.ブランド戦略策定

第二段階はブランド戦略を策定します。

第一段階で、自社と顧客と競合の3つの点から現状分析をすることができました。
次に必要となるのが、目標地点の設定とそこへたどり着くためのルート選定です。
目標地点の設定とは、ブランドの目指す理想の姿を描くことです。

理想の姿とは、ブランドが提供する価値を明確化することにより、企業として「どうありたいか」ということと、お客様から「どう思われたいか」ということの2つの視点で共通のイメージを醸成し、合致させた重なり部分のことです。

理想の姿としての目標地点をしっかり設定しておかなければ、戦略を立てられません。
現状分析の結果としての現在地を把握していても、目標地点がなければどこへ向かえば良いかが分からないからです。

そこで、第二段階目の初めはまず、経営陣と全社員で自社の理想の姿をどういうものにしたいのかについて検討を重ねましょう。
これから向かうべき理想の姿について全社で認識を共有できますと、それがブランディング活動の強力な推進力になります。

目標地点としての理想の姿が定まったら、次に現在地から目標地点に向かうためのルート(道すじ)を考えます。

「戦略」とは、現在地と理想のあるべき姿(=目標地点)とを結ぶルートを考え、それに必要な人員と予算を配分する地図や計画表みたいなもののことだからです。

なお、戦略を策定する際に大事なのは、論理的整合性を保つことです。
平たく言えば、つじつまの合わないルートを考えてはいけないということです。
戦略は、前後の事柄の意味がしっかりつながっていくように考えていかねばなりません。
論理的整合性のない戦略では、実行段階で必ず破綻することになりますから。

_2-3.ブランド戦略実行

第三段階はブランド戦略を実行していきます。

まずは、見た目としてのブランド「らしさ」を構築するために、ブランドネーム、ロゴとシンボル、スローガン、パッケージング、キャラクターといった5つのブランド要素を作ります。

次に、社内外へのコミュニケーションを通じてブランド「らしさ」を管理していきます。
ここでいう「管理」とは、社内や社外へのブランドらしさを浸透させる活動を意味します。
社内向けの浸透活動を「インナーブランディング」、社外向けの浸透活動を「アウターブランディング」というのでしたね(→詳細については、以前ご紹介した記事(第2回)をご覧ください)。

ブランドらしいメッセージや価値観を社内に浸透させるためのインナーブランディングをすることによって、社員たちはブランドらしい接客や行動をとるようになります。

また、ブランドらしい見た目を統一し、あらゆるデザインに反映させるためのアウターブランディングをすることで、ブランドらしい見た目やイメージが出来上がります。

そして、インナーブランディングとアウターブランディングの両方が揃って初めて、ターゲット層の顧客にブランドらしさが伝わるようになり、顧客から選ばれる商品になることができるのです。

第三段階の最後は、効果を検証します。
ブランディング活動の実施状況を細かくチェックして、改善・改良ポイントを見つけ出すのが目的です。

PDCAサイクルを効率的に回してより良いブランド作りを行うためには、効果の検証をすることが欠かせないからです。

トヨタ自動車も元は地方の町工場でしたが、「カイゼン」活動を繰り返すことで世界的な大企業にまで成長することができました。

ブランディング活動はやりっぱなしではあんまり良い効果は見込めません。
したがって、常に効果の検証を繰り返しながら、第一段階から第三段階までの改善・改良ポイントを見極めて、修正しながら進めていくようにしましょう。

以上が、おおまかなブランディング活動のプロセスになります。

_3.ブランディング活動で一番考えなければならないこととは?

実は、実際のブランディング活動のプロセスの中で一番大変なのは、第二段階のブランド戦略の策定です。

ブランド「らしさ」を深掘りして引き出し、それをターゲット層の顧客に理解・納得・共感していただくためには、どのような施策を打てば良いのかを考え続けなければならないからです。

そこで、戦略を策定する際に経営陣及び全社員が一番考えなければならないことを以下のリストにしておきます。

・私たちのブランドは、一言で言うと何だろうか?
・私たちのブランドは、色をつけるとしたら何色だろうか?
・私たちのブランドは、世の中にとってどういう商品でありたいか?
・私たちのブランドで働く社員として、世の中からどう思われたいだろうか?

私たち自身のブランドについて、理念や価値観、生き様、哲学といった奥深いところにまでさかのぼって改めて考えてみること。
これがブランディング戦略を策定するために一番考えなければならないことです。

しかも、一度考えて終わりというわけではなく、ブランディング活動のPDCAサイクルの中で常に立ち戻って考え続ける必要があります。

戦略策定の際に一番考えなければならない部分(=コンセプト)がしっかりと明確化して強固なものになるほど、戦略ブランディングが成功する確率が高まっていくからです。

自社だけで戦略を考えるのが諸事情により難しいという企業様はぜひ、いつでもお気軽に私たち&FORCEにご相談ください。

最後までお読みいただきましてありがとうございました。

次回の戦略ブランディング基礎講座(第8回)では、「ブランディング活動の第一段階<調査・分析>では具体的にどういうことをするのか?」をテーマにご説明していきたいと思います。

それではまた次回にお会いいたしましょう。

私たち&FORCEは、東京・麹町と沖縄・那覇に拠点を置く戦略ブランディングカンパニーです。
「モノ創りを価値あるものへ」を理念に、全国の企業様への戦略ブランディング支援、戦略PR立案・実行支援を中核に事業を展開しております。

私たち&FORCEが心がけているスタンスは、「お客様に一歩先を提示して伴走する戦略ブランディングサービス」をご提供することです。
クライアント様の確かなブランド構築という目標に向かって、共創・伴走させていただきながら事業が自走していく状態になるまで戦略ブランディングサポートを継続致します。 クライアント様に1人で走っていただくようなことは致しません。

ブランディングのお仕事というのは、「考え続ける」お仕事です。
それも、独りよがりの考えではなく、クライアント様の想いやこれまでに紡いできたストーリーをしっかり汲み取って、どうやったら喜んでいただけるかを共に考えていきます。

&FORCEの「&」には、代表・瀧口幸明の<誰かと一緒に何かを作る力は無限大>という想いが込められています。
そのため、クライアント様には様々な業界・業種の方がいらっしゃいますし、弊社のメンバーも年齢・性別やバックボーンを問わず様々です。
様々な人や文化が混ざり合うことから新たな価値が生まれてくると信じております。

私たち&FORCEは、戦略ブランディングや戦略PR関連のお仕事をさせていただいておりますが、特にスタートアップ企業の経営者様や事業承継後の後継ぎ経営者様の戦略ブランディングに関するお悩みに全力で寄り添い、お応えして参りたいと思っております。

&FORCEにご興味を持っていただけましたら、いつでもお気軽にお問い合わせいただければ幸いです。
クライアント様のお役に立てることを心より願っております。

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[ 参考文献一覧 ]
1.デービッド・アーカー「ブランド論」(ダイヤモンド社 2015年)
2.デービッド・アーカー「ストーリーで伝えるブランド—シグネーチャーストーリーが人々を惹きつける」(ダイヤモンド社 2019年)
3.田中洋「ブランド戦略・ケースブック2.0」(同文舘出版 2021年)
4.田中洋「ブランド戦略論」(有斐閣 2017年)
5.音部大輔「The Art of Marketing マーケティングの技法」(宣伝会議 2021年)
6.羽田康祐「ブランディングの教科書:ブランド戦略の理論と実践がこれ一冊でわかる」(NextPublishing Authors Press 2020年)
7.中川淳・西澤明洋「ブランドのはじめかた」(日経BP 2010年)
8.中川淳・西澤明洋「ブランドのそだてかた」(日経BP 2017年)
9.水野学「『売る』から、『売れる』へ。水野学のブランディングデザイン講義」(誠文堂新光社 2015年)
10.西澤明洋「ブランディングデザインの教科書」(パイ インターナショナル 2020年)
11.乙幡満男「デジタル時代に知名度ゼロから成功する!ブランディング見るだけノート」(宝島社 2021年)
12.乙幡満男「ブランディングが9割」(青春出版社 2020年)
13.齋藤三希子「パーパス・ブランディング〜『何をやるか?』ではなく、『なぜやるか?』から考える」(Kindle版 2022年)
14.デザインノート編集部「デザインノート Premium 最強のブランディングデザイン: 最新デザインの表現と思考のプロセスを追う」(誠文堂新光社 2021年)
15.バイロン=シャープ・前平謙二「ブランディングの化学 誰も知らないマーケティングの法則11」(朝日新聞出版 2018年)
16.佐藤圭一「選ばれ続ける必然 誰でもできる『ブランディング』のはじめ方」(講談社 2016年)
17.丹羽真理「パーパス・マネジメント」(クロスメディア・パブリッシング 2018年)
18.山口義宏「デジタル時代の基礎知識『ブランディング』 『顧客体験』で差がつく時代の新しいルール」(翔泳社 2018年)
19.バイロン=シャープ・ジェニー=ロマニウク他「ブランディングの科学 新市場開拓編 – エビデンスに基づいた成長の新法則–」(朝日新聞出版 2020年)
20. 楠木建「ストーリーとしての競争戦略」(東洋経済新報社 2010年)
21.ジョン・ムーア「スターバックスはなぜ値下げもテレビCMもしないのに強いブランドでいられるのか?」(ディスカバー・トゥエンティワン 2014年)
22.小山田育・渡邊デルーカ瞳「ニューヨークのアートディレクターがいま、日本のビジネスリーダーに伝えたいこと」(クロスメディア・パブリッシング 2019年)
23.中川淳「経営とデザインの幸せな関係」(日経BP 2016年)
24.西口一希「たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング」(翔泳社 2019)
25.フィリップ・コトラー「コトラーのB2Bブランドマネジメント」(白桃書房 2020年)
26.片山義丈「実務家ブランド論」(宣伝会議 2021年)
27.アル・ライズ「ブランディング22の法則」(東急エージェンシー 1999年)
28.クレイトン・M・クリステンセン「ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム」(ハーパーコリンズ・ジャパン 2017年)
29. 芹澤連「“未”顧客理解 なぜ、「買ってくれる人=顧客」しか見ないのか?」(日経BP 2022年)
30. 森岡毅/今西聖貴「確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力」(KADOKAWA 2016年)

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