&FORCE COLUMN

&FORCEの戦略ブランディング基礎講座(第12回)
「マーケティングだけでは足りない、戦略ブランディングが必要な理由とは?」
【東京・沖縄の戦略ブランディング会社】

こんにちは。&FORCEの広報担当です。
このブログでは、戦略ブランディングについての基礎的な知識を学びたい方のためのお役立ち情報を発信して参ります。

具体的には、次のようなお悩みをお持ちの方にお役立ちできる内容となっています。

「売り上げを安定的に伸ばすためにブランディングが大切って聞いたけど、そもそもブランディングって何?」

「スタートアップ企業として、認知度や信頼感を獲得するためにブランディングに取り組んでいきたいけれど、何をどれから始めたらいいかが分からない・・・。」

「親から会社を引き継いだ後継ぎなんだけど、親の世代とは時代状況も違うし、新しい時代に合わせて会社をブランディングし直してみたいんだけど、どうしたらいいんだろう?」

知っておくと有益な戦略ブランディングの基礎知識をご説明していきますので、ご興味のある方はぜひご覧になってみてください。
どうぞよろしくお願いいたします。
(なお、本テーマの記事は連載形式になります。)

戦略ブランディング基礎講座第12回目のテーマは、
「マーケティングだけでは足りない、戦略ブランディングが必要な理由とは?」です。

それでは行ってみましょう!

_1.マーケティングとブランディングのそれぞれの視点の違いとは?

第6回の記事でマーケティングとの関係におけるブランディングの位置づけについてご説明しました。
類似商品で溢れかえる厳しい現代の市場環境では、ブランディングはマーケティングの4つのPを結びつける中核概念であるというお話でしたね。

つまり、製品(Product)、価格(Price)、流通経路(Place)、広告宣伝及び販売促進(Promotion)の4つのPがお互いに結びつくように司令塔の役割を果たすのがブランディングであるということでした。
ブランディングが現在地から目標地点までのルートを全体的に描くための「戦略」だとすれば、マーケティングはその戦略を個々の場面で具体的に実行するための「戦術」という関係になります。

復習はこのくらいにして、今回の記事では、マーケティングだけではなく戦略ブランディングが必要な理由を別の角度から深掘りしてご説明していきたいと思います。
それによって、マーケティングとブランディングのそれぞれの視点の違いがより一層分かるようになり、戦略ブランディングの立案・実行にあたって担当者同士で話す際に議論の食い違いがなくて済むからです。
また、ミクロな視点になりがちな戦術的視野だけでなく、ブランド価値向上のためのマクロな視点の戦略的視野を身につけることができるからです。

それでは、戦略ブランディングの必要性について違った角度から理解するために、まずはマーケティングとブランディングのそれぞれの特徴を見ていきましょう。

この点、マーケティングとは、商品が必然と売れる状態(仕組み)を作り出す仕掛け創りのことであり、ビジネスの最初の起点になるものです。前述したように、どちらかと言えば戦術面よりの話です。
ポイントは、「ある1つの商品・サービス」に着目して、いかに知ってもらい、いかに買ってもらうかということを中心に考えることです。
企業視点で考えますと、企業から顧客に向けた外向きの活動というイメージになるかもしれません。

それに対して、ブランディングは、1つの商品ブランドをどう売るかだけではなく、それぞれの商品ブランドを含んだ全体的な観点から、そもそもどんな企業ブランドなのかについて認知・理解・共感してもらうことを中心的に考えます。

私たち&FORCEは、経営理念のもとに今まで積み重ねてきた企業の歴史・活動など、他社とは違う独自の価値を持ったものを「ブランド」と定義しております。
また、「ブランディング」とは、ブランド+ing、すなわち、ブランドを未来に向けて進化させ続ける行動であると解釈しております。

ブランディングのポイントは、個々の商品ブランドを含んだ全体的な企業ブランドに着目して考えることです。
企業ブランドに着目するとは、その企業の生い立ちや、創業者の想い、生き様、哲学などといった深い本質的な部分にまでさかのぼって考えるということです。
その企業の内面の深いところまで理解しようとしなければ、適切なブランディング戦略を立案することができないという意味で、内向きの活動から始まるというイメージです。

このようにマーケティングとブランディングとでは、その目的の違いから、着目する視点や方向性が異なることに注意が必要です。

_2.マーケティングだけでなく、戦略ブランディングが必要な具体的な理由とは?

優れたマーケティングにより、たとえ素晴らしい1つの商品ブランドを開発した企業があったとしても、その企業自体のブランドがまったくの無名では顧客の信用を得ることはなかなか難しいです。
そのため、顧客は安心感を求めて、いつも購入している別の企業の商品ブランドを選ぶことが多くなります。

また、優れたマーケティングにより、新商品ブランドが当たって一時的に顧客からの支持を得られたとしても、企業自体のブランドに一貫性や継続性がないために長期的な顧客の信頼を得られない場合には、一瞬でシェアを失ってしまうことになります。

言わば、マーケティングは個別の商品ブランドを一定期間売れるようにするイメージで、ブランディングは継続的な支持を獲得し続けて長期にわたって愛顧される存在にするイメージです。
これは、先にもご説明しました通り、ある特定の商品に着目して考えるマーケティング的な視点なのか、全体的な企業ブランドに着目して考えるブランディング的な視点なのかの違いによるものです。

戦略ブランディングでは、企業ブランド全体への信頼感を高め、顧客に自社ブランドのファンになってもらい、継続して良好な関係を構築することを目指します。
そのため、戦略ブランディングによって企業ブランド全体の良いイメージを一貫して訴求していくことで、一つ一つの商品ブランド単位では得られないような顧客との長期的な信頼関係が得られることを見込めます。
つまり、顧客との継続的な関係性を保ち、信頼関係を構築するための活動が戦略ブランディングなのです。

また、戦略ブランディングが必要なもう一つの理由としては、自社ブランドの持つ信頼という優位性の壁を築くことができるため、新規参入を狙う競合企業に対して参入障壁を築くことができるからです。
というのも、自社ブランドのファンになってくれている顧客は、新商品が出た場合に「他社の商品でも良さそうだけど、いつも他社よりも良いものを提供してくれている会社だから、きっと今度の新商品も良いものだろう。」という期待感を抱いて購入してくれることが多いです。
実際の品質が競合他社の商品とそれほど大差がない場合であっても、自社ブランドへの信頼感や期待感が上乗せされる分、実際の品質よりも価値が上に見られるのです。

逆に、戦略ブランディングによって顧客から強い支持を獲得している企業ブランドの商品は、新規参入の競合ブランドが類似商品を市場投入してきても、ある程度の優位性を保つことができます。同品質であれば、この優位性は顕著に現れます。
顧客からすれば、品質的に大差ないのであれば、信頼感や期待感、安心感を抱いている企業ブランドの商品を選ぶ方が無難だからです。

戦略ブランディングによって企業全体のブランド価値を向上させることで、以前の商品ブランドで得られた信頼感が新しい商品ブランドへの信頼性を高めてくれるようになり、実際の品質以上の価値をもたらしてくれるようになります。
これが、マーケティングだけでは得られない、戦略ブランディングをやる意味です。

結論として、戦略ブランディングは、マーケティングだけでは得られないような競争力の底上げにつながるものといえます。
つまり、マーケティングのような短期的な売れ方ではなく、顧客との継続的な関係性を保って信頼を醸成していくための戦略ブランディングが必要なのです。

_3.戦略ブランディングとマーケティングを考える順序とは?

マーケティングは商品を売るためのトータル的な戦術であるのに対し、ブランディングは商品ブランド、あるいは、企業ブランドの価値ある独自性を顧客に訴求し、顧客のイメージを良好なものにすることで差別化を図る戦略です。

これまでご説明してきましたように、どんなに優れたマーケティングによって商品が一時的に売れたとしても、そこで得られた顧客からの支持を長続きさせ、信頼関係にまで高めるためには戦略ブランディングが必要です。

そう考えますと、商品の売れ行きや顧客数の減少に悩んでいる企業様は、一つ一つの商品ブランドに対するマーケティングの見直しよりも先に、ブランド価値を生み出している源泉である戦略ブランディングを見直すべきでしょう。
戦略ブランディングがしっかりと決まることによって、それを具体化する戦術であるマーケティングの内容も決まっていきます。

なお、古来の戦略思想により、「戦略の失敗を戦術的勝利によって覆すことはできない。」とよく言われています。
この言葉からも、戦略がどれだけ重要なものであるかをご理解いただけると思います。
しっかりした戦略があってこそ、戦術も生きるのです。

したがって、戦略ブランディングとマーケティングを考える順序としては、戦略ブランディングが先でマーケティングが後ということになります。

最後までお読みいただきましてありがとうございました。

次回の戦略ブランディング基礎講座(第13回)では、「3C分析を戦略ブランディングの調査・分析に役立てよう」をテーマにご説明していきたいと思います。

それではまた次回にお会いいたしましょう。

私たち&FORCEは、東京・麹町と沖縄・那覇に拠点を置く戦略ブランディングカンパニーです。
「モノ創りを価値あるものへ」を理念に、全国の企業様への戦略ブランディング支援、戦略PR立案・実行支援を中核に事業を展開しております。

私たち&FORCEが心がけているスタンスは、「お客様に一歩先を提示して伴走する戦略ブランディングサービス」をご提供することです。
クライアント様の確かなブランド構築という目標に向かって、共創・伴走させていただきながら事業が自走していく状態になるまで戦略ブランディングサポートを継続致します。 クライアント様に1人で走っていただくようなことは致しません。

ブランディングのお仕事というのは、「考え続ける」お仕事です。
それも、独りよがりの考えではなく、クライアント様の想いやこれまでに紡いできたストーリーをしっかり汲み取って、どうやったら喜んでいただけるかを共に考えていきます。

&FORCEの「&」には、代表・瀧口幸明の<誰かと一緒に何かを作る力は無限大>という想いが込められています。
そのため、クライアント様には様々な業界・業種の方がいらっしゃいますし、弊社のメンバーも年齢・性別やバックボーンを問わず様々です。
様々な人や文化が混ざり合うことから新たな価値が生まれてくると信じております。

私たち&FORCEは、戦略ブランディングや戦略PR関連のお仕事をさせていただいておりますが、特にスタートアップ企業の経営者様や事業承継後の後継ぎ経営者様の戦略ブランディングに関するお悩みに全力で寄り添い、お応えして参りたいと思っております。

&FORCEにご興味を持っていただけましたら、いつでもお気軽にお問い合わせいただければ幸いです。
クライアント様のお役に立てることを心より願っております。

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[ 参考文献一覧 ]
1.デービッド・アーカー「ブランド論」(ダイヤモンド社 2015年)
2.デービッド・アーカー「ストーリーで伝えるブランド—シグネーチャーストーリーが人々を惹きつける」(ダイヤモンド社 2019年)
3.田中洋「ブランド戦略・ケースブック2.0」(同文舘出版 2021年)
4.田中洋「ブランド戦略論」(有斐閣 2017年)
5.音部大輔「The Art of Marketing マーケティングの技法」(宣伝会議 2021年)
6.羽田康祐「ブランディングの教科書:ブランド戦略の理論と実践がこれ一冊でわかる」(NextPublishing Authors Press 2020年)
7.中川淳・西澤明洋「ブランドのはじめかた」(日経BP 2010年)
8.中川淳・西澤明洋「ブランドのそだてかた」(日経BP 2017年)
9.水野学「『売る』から、『売れる』へ。水野学のブランディングデザイン講義」(誠文堂新光社 2015年)
10.西澤明洋「ブランディングデザインの教科書」(パイ インターナショナル 2020年)
11.乙幡満男「デジタル時代に知名度ゼロから成功する!ブランディング見るだけノート」(宝島社 2021年)
12.乙幡満男「ブランディングが9割」(青春出版社 2020年)
13.齋藤三希子「パーパス・ブランディング〜『何をやるか?』ではなく、『なぜやるか?』から考える」(Kindle版 2022年)
14.デザインノート編集部「デザインノート Premium 最強のブランディングデザイン: 最新デザインの表現と思考のプロセスを追う」(誠文堂新光社 2021年)
15.バイロン=シャープ・前平謙二「ブランディングの化学 誰も知らないマーケティングの法則11」(朝日新聞出版 2018年)
16.佐藤圭一「選ばれ続ける必然 誰でもできる『ブランディング』のはじめ方」(講談社 2016年)
17.丹羽真理「パーパス・マネジメント」(クロスメディア・パブリッシング 2018年)
18.山口義宏「デジタル時代の基礎知識『ブランディング』 『顧客体験』で差がつく時代の新しいルール」(翔泳社 2018年)
19.バイロン=シャープ・ジェニー=ロマニウク他「ブランディングの科学 新市場開拓編 – エビデンスに基づいた成長の新法則–」(朝日新聞出版 2020年)
20. 楠木建「ストーリーとしての競争戦略」(東洋経済新報社 2010年)
21.ジョン・ムーア「スターバックスはなぜ値下げもテレビCMもしないのに強いブランドでいられるのか?」(ディスカバー・トゥエンティワン 2014年)
22.小山田育・渡邊デルーカ瞳「ニューヨークのアートディレクターがいま、日本のビジネスリーダーに伝えたいこと」(クロスメディア・パブリッシング 2019年)
23.中川淳「経営とデザインの幸せな関係」(日経BP 2016年)
24.西口一希「たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング」(翔泳社 2019)
25.フィリップ・コトラー「コトラーのB2Bブランドマネジメント」(白桃書房 2020年)
26.片山義丈「実務家ブランド論」(宣伝会議 2021年)
27.アル・ライズ「ブランディング22の法則」(東急エージェンシー 1999年)
28.クレイトン・M・クリステンセン「ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム」(ハーパーコリンズ・ジャパン 2017年)
29. 芹澤連「“未”顧客理解 なぜ、「買ってくれる人=顧客」しか見ないのか?」(日経BP 2022年)
30. 森岡毅/今西聖貴「確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力」(KADOKAWA 2016年)

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