&FORCE COLUMN

&FORCEの戦略ブランディング基礎講座(第13回)
「3C分析を戦略ブランディングの調査・分析に役立てよう」
【東京・沖縄の戦略ブランディング会社】

こんにちは。&FORCEの広報担当です。
このブログでは、戦略ブランディングについての基礎的な知識を学びたい方のためのお役立ち情報を発信して参ります。

具体的には、次のようなお悩みをお持ちの方にお役立ちできる内容となっています。

「売り上げを安定的に伸ばすためにブランディングが大切って聞いたけど、そもそもブランディングって何?」

「スタートアップ企業として、認知度や信頼感を獲得するためにブランディングに取り組んでいきたいけれど、何をどれから始めたらいいかが分からない・・・。」

「親から会社を引き継いだ後継ぎなんだけど、親の世代とは時代状況も違うし、新しい時代に合わせて会社をブランディングし直してみたいんだけど、どうしたらいいんだろう?」

知っておくと有益な戦略ブランディングの基礎知識をご説明していきますので、ご興味のある方はぜひご覧になってみてください。
どうぞよろしくお願いいたします。
(なお、本テーマの記事は連載形式になります。)

戦略ブランディング基礎講座第13回目のテーマは、
「3C分析を戦略ブランディングの調査・分析に役立てよう」です。

それでは行ってみましょう!

_1.3C分析とは?

以前の記事「ブランディング活動の第一段階<調査・分析>では具体的にどういうことをするのか?」(第8回)において、自社分析・顧客分析・競合分析の全体像をさらっとご説明しました。

今回の記事では、この点をより一層深掘りして、ブランディング活動の第一段階<調査・分析>を具体的に進められるような知識をご説明していきます。

さて、初めて自社のブランディングを進めようとする場合や、ブランディングをやってみたものの上手くいっていない場合には、顧客や競合との相対的な関係の中で自社の現状を見極められていないことが原因であることが多いです。
自社の強みや弱みという現状を見極められていないと、自社に対する顧客の期待から外れた商品を提供してしまいがちだからです。

そこで、自社の現状を客観的に探る有効な手段として、➀顧客(Customer)、➁競合(Competitor)、➂自社(Company)の3つの視点から行われる「3C分析」が有名です。
ちなみに、この名前は3つの英語の頭文字からとったものに由来します。

ここで、「自社の現状を分析するのであれば自社だけに着目すれば良いのではないか?」という疑問をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。
しかし、そうではありません。
自社の現状を客観的にしっかりと把握するためには、顧客と競合の2つの分析もあわせて行う必要があるのです。

自社のブランド価値である「〇〇らしさ」「〇〇と言えば(自社)」というのは顧客の頭の中で形成されるイメージであり、それは競合との相対的な比較の中で決まるものだからです。
以前の記事でもご説明しましたように、そもそも「ブランディング」とは、企業として「どうありたいか」/お客様に「どう思われたいか」という2つの視点で共通のイメージを醸成し、合致させていく活動のことです。
この共通のイメージを顧客の頭の中に形成するには、競合が打ち出すイメージとの比較の中で、差別化された独自性ある価値を打ち出していかねばなりません。

そして、差別化された独自性ある価値かどうかを最終的に決めるのは顧客なのです。
また、自社以外の視点から見ることで、現状が理想の状態であるという思い込みや自己満足による主観的な分析に陥ることを防げます。
したがって、自社の現状を「客観的に」探るには、自社だけの分析では足らず、顧客と競合のそれぞれも分析していく必要があるのです。

_2.3C分析で検討する順番とは?

実は、3C分析には検討する順番があります。
順不同で好きなものからやれば良いというわけではありません。
全てのケースにおいて絶対にこの順番でやらなければならないというわけではありませんが、<➀顧客分析→➁競合分析→➂自社分析>という順序で進めていくのが良いでしょう。

そもそも、自社がターゲット層とする顧客のニーズが何であるかを知らずして、自社の強みも弱みも把握することはできません。
自社の強みや弱みというのは顧客のニーズによって変わるからです。

また、顧客のニーズに対して競合他社がどのような商品を提供して効果を上げているのかを知らなければ、自社と比較しようがありません。
繰り返しになりますが、自社の強みや弱みといったものは、顧客のニーズやそれに対する周りの競合他社の対応との比較によって相対的に決まるものだからです。

1人の人間の個性を見る場合も、周りの他者との相対的な比較によってその人の長所や短所というのが明らかになってくるものですよね。
企業ブランドや商品ブランドにおいても同じです。
他者の視点で客観的に比較を行うことが、ブランディング成功の前提として必要なのです。

したがって、3C分析は<➀顧客分析→➁競合分析→➂自社分析>という順序で進めていくことをお勧めします。

_3.3C分析で検討するそれぞれの具体的な内容とは?

3-1.顧客分析

まず顧客分析では、インサイト(=顧客の真の本音)を探り出すことを目的とします。
つまり、「ターゲット層の顧客は本当は何を求めているのか?」を探るのです。
ブランディングの目的は顧客に自社のファンになってもらうことですから、顧客のインサイトに応えるものを商品として提供できなければ、その目的にかなわないからです。

したがって、インサイトの内容として顧客が求める要件をアンケート調査やインタビュー調査などを通じて探っていきます。
具体的には、次のような観点からインサイトを明らかにしていきます。

①現在の自社の特徴への共感ポイントや魅力に感じるポイントはどこか?
②顧客の情報取得手段やコミュニケーション方法、価値観やライフスタイルはどういうものか?
③類似商品の購買履歴など、消費行動に見られがちな特性は何か?
などです。

3-2.競合分析

次に競合分析を行いますが、目的は競合ブランドの強みを把握し、自社が競合と差別化できる点を探り出すことです。
競合ブランドの現状分析では、新規ブランドや後発参入ブランドも含めた成功要因を深掘りして分析します。

成功要因の分析とは、まず、顧客のインサイトに対してどのような商品を提供して効果を上げているのかという結果を見ることです。
その上で、その効果を上げることができた理由と根拠もあわせて分析します。

競合ブランドを見て「なんとなくすごいなぁ」ではいつまでたっても勝てません。
競合ブランドがターゲット層の顧客インサイトを満足させることができているという結果には、理由と根拠が必ずあるはずです。
理由と根拠を分析して把握することができれば、競合ブランドとはまた違った独自の価値ある個性を打ち出しやすくなります。

したがって、競合分析では、顧客のインサイトに対して競合が何をリソース(=ブランドを生み出す資源)としてどのように対応しているのかについて、その理由と根拠を明らかにするように分析していきましょう。

3-3.自社分析

最後に、自社分析をします。
先に顧客分析→競合分析を行ってきましたので、既に顧客インサイトや競合との比較の材料が揃っていることから、自社ブランドの強みを見つけ出しやすくなっているはずです。
自社分析の目的は自社ブランドの強みを見つけ出すことはもちろんですが、克服すべき弱み(課題)を明確にすることも大切です。

そこで、自社分析では、➀ブランド価値を生み出し得るリソースは何が使えそうか、➁ビジョンやミッションは自社の理想の姿を表現し、かつ、企業理念に基づいているかどうかなどを分析します。
つまり、ビジョンやミッションを通じた理想のありたい姿(=方向性)を社内ヒアリングで抽出していきます。
具体的には、現在の自社の特徴やこだわり、差別化ポイントなどの既存の情報を整理します。

また、ブランドコア(=自社ブランドの核心部分)とエクイティ(資産)、顧客への提供事実を抽出します。
そして、ありたいブランドイメージや外からの見え方の統一をどのように図るべきかを検討します。
ちなみに、目指したい競合ブランドのいくつかを参考事例として比較検討してみるのも良いです。

以上、3C分析について見てきました。
どうすればブランディングを正しく推進することができ、競合に勝てるのかについてお悩みの企業様は、ブランド価値を向上させるために、戦略ブランディングの一環として3C分析をしっかりと行うようにしましょう。
時代の変化に合わせてさらに顧客に選ばれるブランドに進化するためにも、3つの視点から現状分析を行うことで、今後に対する課題を明確にしていくことが必要なのです。

最後までお読みいただきましてありがとうございました。

次回の戦略ブランディング基礎講座(第14回)では、「自社の強みを深堀りして見つける具体的な方法とは?」をテーマにご説明していきたいと思います。

それではまた次回にお会いいたしましょう。

私たち&FORCEは、東京・麹町と沖縄・那覇に拠点を置く戦略ブランディングカンパニーです。
「モノ創りを価値あるものへ」を理念に、全国の企業様への戦略ブランディング支援、戦略PR立案・実行支援を中核に事業を展開しております。

私たち&FORCEが心がけているスタンスは、「お客様に一歩先を提示して伴走する戦略ブランディングサービス」をご提供することです。
クライアント様の確かなブランド構築という目標に向かって、共創・伴走させていただきながら事業が自走していく状態になるまで戦略ブランディングサポートを継続致します。 クライアント様に1人で走っていただくようなことは致しません。

ブランディングのお仕事というのは、「考え続ける」お仕事です。
それも、独りよがりの考えではなく、クライアント様の想いやこれまでに紡いできたストーリーをしっかり汲み取って、どうやったら喜んでいただけるかを共に考えていきます。

&FORCEの「&」には、代表・瀧口幸明の<誰かと一緒に何かを作る力は無限大>という想いが込められています。
そのため、クライアント様には様々な業界・業種の方がいらっしゃいますし、弊社のメンバーも年齢・性別やバックボーンを問わず様々です。
様々な人や文化が混ざり合うことから新たな価値が生まれてくると信じております。

私たち&FORCEは、戦略ブランディングや戦略PR関連のお仕事をさせていただいておりますが、特にスタートアップ企業の経営者様や事業承継後の後継ぎ経営者様の戦略ブランディングに関するお悩みに全力で寄り添い、お応えして参りたいと思っております。

&FORCEにご興味を持っていただけましたら、いつでもお気軽にお問い合わせいただければ幸いです。
クライアント様のお役に立てることを心より願っております。

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[ 参考文献一覧 ]
1.デービッド・アーカー「ブランド論」(ダイヤモンド社 2015年)
2.デービッド・アーカー「ストーリーで伝えるブランド—シグネーチャーストーリーが人々を惹きつける」(ダイヤモンド社 2019年)
3.田中洋「ブランド戦略・ケースブック2.0」(同文舘出版 2021年)
4.田中洋「ブランド戦略論」(有斐閣 2017年)
5.音部大輔「The Art of Marketing マーケティングの技法」(宣伝会議 2021年)
6.羽田康祐「ブランディングの教科書:ブランド戦略の理論と実践がこれ一冊でわかる」(NextPublishing Authors Press 2020年)
7.中川淳・西澤明洋「ブランドのはじめかた」(日経BP 2010年)
8.中川淳・西澤明洋「ブランドのそだてかた」(日経BP 2017年)
9.水野学「『売る』から、『売れる』へ。水野学のブランディングデザイン講義」(誠文堂新光社 2015年)
10.西澤明洋「ブランディングデザインの教科書」(パイ インターナショナル 2020年)
11.乙幡満男「デジタル時代に知名度ゼロから成功する!ブランディング見るだけノート」(宝島社 2021年)
12.乙幡満男「ブランディングが9割」(青春出版社 2020年)
13.齋藤三希子「パーパス・ブランディング〜『何をやるか?』ではなく、『なぜやるか?』から考える」(Kindle版 2022年)
14.デザインノート編集部「デザインノート Premium 最強のブランディングデザイン: 最新デザインの表現と思考のプロセスを追う」(誠文堂新光社 2021年)
15.バイロン=シャープ・前平謙二「ブランディングの化学 誰も知らないマーケティングの法則11」(朝日新聞出版 2018年)
16.佐藤圭一「選ばれ続ける必然 誰でもできる『ブランディング』のはじめ方」(講談社 2016年)
17.丹羽真理「パーパス・マネジメント」(クロスメディア・パブリッシング 2018年)
18.山口義宏「デジタル時代の基礎知識『ブランディング』 『顧客体験』で差がつく時代の新しいルール」(翔泳社 2018年)
19.バイロン=シャープ・ジェニー=ロマニウク他「ブランディングの科学 新市場開拓編 – エビデンスに基づいた成長の新法則–」(朝日新聞出版 2020年)
20. 楠木建「ストーリーとしての競争戦略」(東洋経済新報社 2010年)
21.ジョン・ムーア「スターバックスはなぜ値下げもテレビCMもしないのに強いブランドでいられるのか?」(ディスカバー・トゥエンティワン 2014年)
22.小山田育・渡邊デルーカ瞳「ニューヨークのアートディレクターがいま、日本のビジネスリーダーに伝えたいこと」(クロスメディア・パブリッシング 2019年)
23.中川淳「経営とデザインの幸せな関係」(日経BP 2016年)
24.西口一希「たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング」(翔泳社 2019)
25.フィリップ・コトラー「コトラーのB2Bブランドマネジメント」(白桃書房 2020年)
26.片山義丈「実務家ブランド論」(宣伝会議 2021年)
27.アル・ライズ「ブランディング22の法則」(東急エージェンシー 1999年)
28.クレイトン・M・クリステンセン「ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム」(ハーパーコリンズ・ジャパン 2017年)
29. 芹澤連「“未”顧客理解 なぜ、「買ってくれる人=顧客」しか見ないのか?」(日経BP 2022年)
30. 森岡毅/今西聖貴「確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力」(KADOKAWA 2016年)

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